登戸から向ヶ丘遊園までの区間は、小田急線でわずか一駅、距離にして約0.6キロメートルという非常に近い関係にあります。電車に乗れば1分ほどで到着してしまいますが、実はこの一駅区間には、鉄道ファンならずとも心躍るような歴史や、劇的に変化を続ける街の姿が凝縮されているのをご存じでしょうか。
現在、駅周辺では大規模な再開発が進んでおり、訪れるたびに新しい景色に出会えるのがこのエリアの醍醐味です。この記事では、鉄道の視点を交えながら、登戸から向ヶ丘遊園までを歩いて楽しむための情報を分かりやすくお伝えします。散策の参考に、ぜひ最後までご覧ください。
登戸から向ヶ丘遊園までの歩き方と所要時間をチェック

まずは、登戸から向ヶ丘遊園まで移動する際の基本的な情報を見ていきましょう。この区間は非常に距離が短いため、天気が良い日には電車を使わずに歩いて移動する人がとても多いのが特徴です。最短ルートを選べば、あっという間に隣の駅にたどり着くことができます。
徒歩での移動距離と目安の時間
登戸駅から向ヶ丘遊園駅までの距離は、線路沿いのルートを歩いた場合で約600メートルから900メートルほどです。大人の足であれば、おおよそ10分から15分程度で移動できる計算になります。これは、大きな駅の構内を端から端まで歩くのとそれほど変わらない感覚かもしれません。
平坦な道が多いため、小さなお子様連れやベビーカーを利用している方でも、無理なく歩くことが可能です。途中で買い物を楽しんだり、道沿いの景色を眺めたりしながら歩けば、ちょっとした良い運動にもなります。電車を待つ時間を考えると、歩いてしまったほうが早い場合もあるほどです。
特に春や秋の穏やかな季節には、多摩川から吹き抜ける風を感じながらの散歩が非常に心地よく、多くの地域住民に親しまれています。この一駅散歩は、このエリアに住む人たちにとっては日常的な光景といえるでしょう。
おすすめの散策ルート2選
登戸から向ヶ丘遊園へ向かうルートは、主に2つのパターンがあります。一つ目は「小田急線の線路沿いを歩くルート」です。こちらは電車が走る姿を間近に見ることができ、鉄道好きの方には特におすすめです。道が分かりやすく、迷う心配がほとんどないのもメリットです。
二つ目は「登戸2号線と呼ばれる新しい大通りを通るルート」です。現在、再開発によって整備されている幅の広い道路で、新しい建物や飲食店が続々とオープンしています。歩道が広く確保されているため、安全にゆったりと歩きたい方に適しています。
どちらのルートを選んでも、所要時間に大きな差はありません。行きは線路沿いで電車の音を楽しみ、帰りは新しい街並みを眺めながら大通りを歩くといったように、気分に合わせて使い分けるのがおすすめです。
電車を利用する場合のメリット
もちろん、電車を利用するメリットも十分にあります。雨の日や荷物が多いとき、あるいは夏の暑い日などは、空調の効いた車内で移動できるのは助かります。小田急線の運賃は、この1駅区間であればICカード利用で140円程度と非常にリーズナブルです。
また、登戸駅は快速急行や急行が停車し、JR南武線との乗り換えも可能な交通の要所です。一方で、向ヶ丘遊園駅も急行が停車するため、どちらの駅からも新宿方面へスムーズにアクセスできます。一駅という短距離ですが、運行本数が多いため待たずに乗れるのが嬉しいポイントです。
複々線化の拠点!登戸駅と向ヶ丘遊園駅の鉄道的な違い

同じ小田急線の隣り合う駅ですが、登戸駅と向ヶ丘遊園駅には鉄道運用上の大きな違いがあります。小田急電鉄が進めてきた「複々線化」というプロジェクトにおいて、この区間は非常に重要な役割を担っているのです。ここでは、鉄道ファンも注目する駅の構造について解説します。
登戸駅は「交通の結節点」としての役割
登戸駅は、JR南武線と小田急線が交差する大型のターミナル駅です。小田急線内でも乗降客数が非常に多く、すべての急行列車(快速急行を含む)が停車します。駅構内は「ドラえもん」の装飾が施されており、どこかワクワクするような雰囲気が漂っているのが特徴です。
鉄道の構造で見ると、登戸駅は代々木上原駅から続く「複々線」の終点にあたります。複々線とは、上り線と下り線がそれぞれ2本ずつ、合計4本の線路がある状態のことです。これにより、各駅停車と急行が互いを邪魔することなく、スムーズに運行できるようになっています。
駅のホームも広く、最新の設備が整っています。JRとの乗り換え客で終日賑わっており、活気あふれる「動」の駅という印象が強いでしょう。再開発によって駅ビル内にも多くの店舗が入っており、利便性は抜群です。
向ヶ丘遊園駅は「運行の境界線」としての顔
一方の向ヶ丘遊園駅は、複々線が終わった直後の区間に位置しています。登戸駅から向ヶ丘遊園駅の間は、実は線路が3本という珍しい「三線区間」になっています。これは上り線だけが2本、下り線が1本という構成で、朝のラッシュ時に上り列車をスムーズに捌くための工夫です。
また、向ヶ丘遊園駅には「引き上げ線」と呼ばれる、電車を一時的に留置したり折り返させたりするための線路があります。そのため、新宿方面からの各駅停車の中には、この駅を終点として折り返す運用が多く設定されています。運行上の大きな拠点駅となっているのです。
駅舎のデザインも対照的です。北口には1927年の開業当時を彷彿とさせる、レトロで趣のある「ギャンブレル屋根」の駅舎が残されています。最新設備の登戸駅に対し、向ヶ丘遊園駅は鉄道の歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気が魅力です。
停車する列車の種類と使い分け
登戸駅と向ヶ丘遊園駅では、停車する列車の種類に少しだけ違いがあります。登戸駅にはすべての急行・快速急行が停車しますが、向ヶ丘遊園駅には快速急行が停車しません。これは、快速急行がより遠距離の速達性を重視しているためです。
ただし、向ヶ丘遊園駅には急行や準急、通勤急行が停車するため、日常の利用で不便を感じることはまずありません。むしろ、向ヶ丘遊園駅始発の各駅停車に乗れば、座って新宿方面へ向かえるという大きなメリットがあります。
登戸駅と向ヶ丘遊園駅の停車比較
| 列車種別 | 登戸駅 | 向ヶ丘遊園駅 |
|---|---|---|
| 快速急行 | ○ 停車 | × 通過 |
| 急行 | ○ 停車 | ○ 停車 |
| 準急・各駅停車 | ○ 停車 | ○ 停車 |
大規模再開発が進行中!進化し続ける登戸・向ヶ丘遊園の街並み

登戸から向ヶ丘遊園にかけての一帯は、現在「登戸土地区画整理事業」の真っ最中です。かつては細い路地や古い商店が密集していましたが、現在は空き地が広がり、そこに新しいビルやマンションが次々と建設されています。今まさに街が生まれ変わる瞬間に立ち会える貴重なエリアです。
登戸駅前に誕生する超高層ランドマーク
登戸駅のすぐ目の前では、地上38階建てという驚きの規模を誇る再開発ビルの建設が進んでいます。これは2029年度の竣工を予定しており、低層階には商業施設、高層階には400戸を超える住宅が入る計画です。このビルが完成すれば、街の景色は一変するでしょう。
駅直結の利便性を活かし、スーパーマーケットやドラッグストア、クリニックなど、日常生活を支える機能が凝縮される予定です。これまで「乗り換えの駅」という印象が強かった登戸ですが、今後は「わざわざ訪れたくなる街」へとステップアップしていくことが期待されています。
また、駅周辺の歩道も大幅に拡幅されており、歩行者にとって非常に快適な空間へと整備されています。車と歩行者の動線がしっかりと分離されることで、安全性が向上しているのも再開発の大きなメリットといえるでしょう。
向ヶ丘遊園跡地の再生プロジェクト
向ヶ丘遊園駅という名前の由来となった遊園地「向ヶ丘遊園」は、2002年に惜しまれつつ閉園しました。その広大な跡地でも、小田急電鉄による大規模な開発が計画されています。コンセプトは「人と自然が回復しあう丘」という、非常に魅力的なものです。
このプロジェクトでは、温浴施設(温泉)や商業施設、さらには自然を活かしたキャンプやグランピングが楽しめるエリアが整備される予定です。2030年頃の全面開業を目指しており、完成すれば首都圏でも有数のレジャー拠点として再び注目を集めることになるでしょう。
かつての遊園地の賑わいを知る世代にとっては、形を変えて再び活気が戻ってくることは喜ばしいニュースです。駅からのアクセスも改善され、街全体にさらなる賑わいをもたらす起爆剤となることが予測されています。
新しくオープンした注目スポット「クロス向ヶ丘」
再開発の成果は、すでに形となって現れ始めています。2024年4月、向ヶ丘遊園駅の近くに「クロス向ヶ丘」という新しい商業施設がオープンしました。ここはかつてダイエー向ヶ丘店があった場所で、地域住民にとっては待望の大型店舗です。
館内には「イオンフードスタイル」を中心として、家電量販店や100円ショップ、飲食店など、暮らしに密着した店舗が揃っています。建物のデザインも現代的で、テラス席のあるカフェなどは若い世代やファミリー層で賑わっています。
こうした新しい施設が誕生することで、登戸から向ヶ丘遊園の間を歩く人の流れも確実に変わってきています。古いものと新しいものが混ざり合う、今の時期ならではの街歩きが楽しめるのも、このエリアの面白さです。
鉄道ファン必見!かつて存在した向ヶ丘遊園モノレールの面影

登戸から向ヶ丘遊園を語る上で欠かせないのが、かつて駅と遊園地を結んでいた「向ヶ丘遊園モノレール」の存在です。現在は廃止されていますが、街のあちこちにその名残を見つけることができます。鉄道の歴史を探る「廃線跡歩き」の視点を取り入れると、散策の楽しさが倍増します。
「世界に2つだけ」だった貴重なモノレール
向ヶ丘遊園モノレールは、1966年に開業しました。このモノレールの最大の特徴は、日本が開発した「ロッキード式」という珍しい方式を採用していたことです。この方式を採用したモノレールは、世界でもここと姫路市交通局の2箇所にしか存在しませんでした。
銀色の近未来的な車体が、道路の中央に設置された一本のレールの上を走る姿は、当時の子供たちにとって憧れの的でした。遊園地へ向かう高揚感を高めてくれる、まさに「夢の乗り物」だったのです。残念ながら老朽化などの理由により、2001年にその歴史に幕を閉じました。
しかし、廃止から20年以上が経過した今でも、モノレールの記憶は街のいたるところに刻まれています。当時の写真や資料を見ると、いかにこの乗り物が街のシンボルとして愛されていたかがよく分かります。
街の中に残る「橋脚」と「駅跡」を探そう
向ヶ丘遊園駅の南口を出てすぐ、現在の駐輪場がある場所がかつてのモノレール駅の跡地です。不自然に長い、細長いスペースが道路の中央に残っているのを見つけたら、それが駅のホームがあった場所だと想像してみてください。
さらに遊園地跡に向かって歩いていくと、二ヶ領用水沿いの道にモノレールのレールを支えていたコンクリートの土台(橋脚跡)がいくつか残されています。住宅街や風景の中に、突如として現れる鉄道の遺構は、どこかノスタルジックな雰囲気を漂わせています。
一部の橋脚は、現在は看板の土台として活用されていたり、植栽の中に隠れていたりします。まるで間違い探しをするような感覚で、これらの跡を探しながら歩くのは、大人も子供も夢中になれるアクティビティです。
モノレールの精神を受け継ぐシャトルバス
モノレールがなくなった後、その役割を引き継いでいるのが、登戸駅から運行されている「藤子・F・不二雄ミュージアム」行きのシャトルバスです。ドラえもんやパーマンなど、キャラクターたちが描かれたラッピングバスは、かつてのモノレールのような人気を博しています。
バスの停留所や車内放送にも遊び心が溢れており、目的地に到着するまでの時間を楽しく演出してくれます。モノレールという物理的な乗り物はなくなりましたが、「ワクワクを運ぶ」という精神は、今のバスにもしっかりと受け継がれているようです。
登戸から向ヶ丘遊園を歩く際には、足元の道路や頭上の空間に、かつてのモノレールが走っていた軌跡を思い描いてみてください。いつもの景色が、少しだけ違って見えるはずです。
かつてのモノレールの車両の一部は、廃止後に一部の部品が保存されたり、展示されたりしていました。鉄道資料館などで当時の貴重な資料に触れることができる機会もあります。
散策がもっと楽しくなる!周辺の定番&穴場スポット巡り

登戸から向ヶ丘遊園の間、あるいはその周辺には、多くの魅力的なスポットが点在しています。ただ移動するだけではもったいない、立ち寄りたくなる場所をいくつかピックアップしてご紹介します。散策の合間に、ぜひ足を運んでみてください。
川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム
このエリアを訪れる人の多くが目的地とするのが、「藤子・F・不二雄ミュージアム」です。登戸駅からシャトルバスが出ていますが、向ヶ丘遊園駅からも徒歩圏内にあります。二ヶ領用水沿いの道を、キャラクターの銅像を探しながら歩いていくのがおすすめです。
ミュージアム内では、貴重な原画の展示はもちろん、ここでしか見られないオリジナル短編映像の上映など、大人も子供も魅了される仕掛けがいっぱいです。屋上の「はらっぱ」では、土管のある空地など作品の世界が再現されており、記念撮影スポットとして大人気です。
カフェメニューも非常に充実しており、アンキパンを模したフレンチトーストなど、見た目にも楽しい料理が揃っています。事前予約制となっているため、訪れる際は公式ウェブサイトでのチケット手配を忘れないようにしましょう。
生田緑地と日本民家園
向ヶ丘遊園駅から南へ15分ほど歩くと、川崎市内最大級の緑豊かな公園「生田緑地」に到着します。ここはかつての多摩丘陵の自然がそのまま残されており、四季折々の草花を楽しむことができます。都会の喧騒を忘れさせてくれる、貴重なオアシスのような場所です。
園内にある「日本民家園」は、全国各地から江戸時代の古民家を移築・復元した野外博物館です。25棟もの古民家が並ぶ姿は圧巻で、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。中には古民家を利用したお蕎麦屋さんもあり、趣深い雰囲気の中で食事が楽しめます。
また、岡本太郎美術館やかわさき宙(そら)と緑の科学館(プラネタリウム)なども併設されており、一日中いても飽きることがありません。鉄道好きの方には、園内に静態保存されている「D51形蒸気機関車(デゴイチ)」や、古い客車も必見です。
多摩川の河川敷とリバーサイドカフェ
登戸駅の北側には、多摩川の広大な河川敷が広がっています。土手の上はジョギングやサイクリングコースとして整備されており、晴れた日には遠くに富士山を望むこともできます。広い空を眺めながら、のんびりと過ごすには最高のロケーションです。
最近では、河川敷近くにおしゃれなカフェやレストランも増えています。開放的なテラス席で、川の流れを眺めながらコーヒーを飲む時間は格別です。多摩川を渡る小田急線の鉄橋を眺めることができるスポットもあり、電車を撮影する絶好のポイントとしても知られています。
再開発によって駅前が都会的になっていく一方で、歩いてすぐの場所にこうした豊かな自然が残っているのが、登戸・向ヶ丘遊園エリアの大きな魅力です。都会の利便性と自然の癒し、その両方を一度に満喫できるのが、この街の散策の醍醐味といえるでしょう。
登戸から向ヶ丘遊園を歩いて感じた街の魅力まとめ
登戸から向ヶ丘遊園までの区間は、単なる一駅の移動距離以上の豊かなストーリーに満ちています。小田急線の複々線化という鉄道の進化、大規模な再開発によって刻一刻と表情を変える街並み、そしてかつてのモノレールが走った歴史の余韻など、歩くたびに新しい発見があるエリアです。
登戸駅の活気ある最新の設備から、向ヶ丘遊園駅のレトロな駅舎へと続く道のりは、まさに過去と未来をつなぐ散歩道のようです。新しくできた「クロス向ヶ丘」で買い物をしたり、多摩川の風に当たったり、あるいは生田緑地の深い森で深呼吸をしたりと、楽しみ方は無限に広がっています。
再開発が完了する数年後には、また今とは違う素晴らしい景色が広がっていることでしょう。しかし、工事が進む「今」という瞬間にしか見られない、移ろいゆく街の姿もまた、非常に興味深いものです。ぜひ一度、登戸から向ヶ丘遊園まで、自分の足でゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか。
鉄道の響きを感じながら、変わりゆく街の息吹を間近で体験する。そんな贅沢な時間を、この身近な一駅区間でぜひ味わってみてください。この記事が、あなたの街歩きをより楽しく、実りあるものにするヒントになれば幸いです。




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