京成3700形を徹底解説!特徴や運用、現在の活躍まで詳しく紹介

鉄道の仕組みと用語解説

京成電鉄の路線や、乗り入れ先の都営浅草線、京急線、北総線などで活躍する京成3700形。1991年のデビュー以来、京成の主力車両の一つとして走り続けています。

この記事では、京成3700形の基本的な情報から、製造時期によるデザインの違い、特徴的なVVVFインバータ制御、そして現在の運用状況や他社へのリースといった活躍の様子まで、幅広く、そして分かりやすく解説していきます。

通勤や通学で毎日利用している方も、鉄道ファンの方も、この記事を読めば3700形の新たな魅力に気づくこと間違いなしです。

京成3700形とは?基本情報をチェック

まずは、京成3700形がどのような車両なのか、基本的な情報から見ていきましょう。1991年に登場して以来、京成電鉄の輸送を支え続けてきた重要な車両です。

京成電鉄の次世代を担った通勤形電車

京成3700形は、1991年3月19日に営業運転を開始した京成電鉄の通勤形電車です。 当時、成田空港ターミナル直下への乗り入れと、北総開発鉄道(現:北総鉄道)2期線の開通という大きな節目に合わせて導入されました。 それまでの「赤電」と呼ばれた旧型車両などを置き換える目的もあり、2002年まで10年以上にわたって製造が続けられました。

「メンテナンスの容易化」「省エネルギー化」「乗り心地の向上」「旅客サービスの向上」といったコンセプトを掲げて設計されており、まさに京成の新しい時代を象徴する車両でした。 軽量ステンレス製のすっきりとした車体は、それまでの車両のイメージを一新。 また、通勤形車両としては初めて、AE100形「スカイライナー」で採用された赤と青の帯を本格的に採用し、その後の京成車両の標準的なカラーリングとなりました。

VVVFインバータ制御を初採用した画期的な車両

3700形の技術的な最大の特徴は、京成の通勤形電車として初めてVVVFインバータ制御を本格的に採用した点です。

VVVF(ブイブイブイエフ)インバータ制御とは?
電車のモーターに流す電気の電圧と周波数を自由に変えることができる装置のことです。「可変電圧可変周波数制御」とも呼ばれます。これにより、モーターの回転数を効率よくコントロールでき、スムーズな加速や減速、そして大幅な省エネルギーが可能になります。

このVVVFインバータ制御の採用により、3700形は従来の車両に比べて消費エネルギーを大幅に削減することに成功しました。 採用されたのは、AE100形に続いてGTOサイリスタという素子を使ったもので、発車・停車時に独特のモーター音がするのが特徴です。 この音は、鉄道ファンの間で「GTOサウンド」として親しまれています。

AE100形と共通性のあるデザイン

3700形のデザインは、同時期に登場した特急車両AE100形(2代目スカイライナー)との共通性を感じさせるものとなっています。特に前面のデザインは、それまでの京成車両とは一線を画すものでした。

運転台のスペースを広くとるため、緊急時に使用する貫通扉を進行方向向かって右側に寄せた左右非対称のデザインを京成で初めて採用しました。 これにより、運転士の前方視界が大きく広がり、安全性が向上しています。 また、窓周りを一体化させたブラックフェイスのデザインも特徴的で、シンプルでありながら安定感のある印象を与えます。

この左右非対称の前面デザインは、以降に登場する3400形や3000形(2代目)などにも受け継がれ、京成の通勤形電車の「顔」として定着していきました。

3700形の外観と内装の特徴

約11年という長期間にわたって製造された3700形は、製造時期によっていくつかのデザイン上の違いが見られます。ここでは、外観と内装の主な特徴について詳しく見ていきましょう。

製造時期で異なる前面デザイン

3700形の外観で最も分かりやすい違いは、前面のデザインです。特に2000年以降に製造された6次車以降の車両は、ライト類の配置が変更され、初期の車両とは異なる印象になっています。

  • 初期車(1~5次車):ヘッドライトが下部に、種別灯・尾灯が上部に配置されています。 また、種別表示器の下部が少し出っ張っているのも特徴です。
  • 後期車(6次車以降):ヘッドライトが上部に、種別灯と尾灯が下部に縦に並んだ配置に変更されました。 このデザインは、後に登場する3000形(2代目)にも引き継がれています。

また、登場当初は先頭車両にスカート(排障器)がありませんでしたが、1995年に全編成に取り付けられました。 行先表示器も、登場時は方向幕(ロール式の幕)でしたが、後に3色LED、そしてフルカラーLEDへと交換が進められています。

快適性を追求した車内空間

3700形の車内は、オールロングシートを採用しています。 デビュー当時は、旅客サービスの向上を目指した様々な新しい設備が導入されました。

天井にはラインデリア(送風機)が初めて採用され、空調の風を均一に車内に行き渡らせることで快適性を高めています。 ドアの上部には、京成で初めてLED式の車内案内表示器が設置され、停車駅などの情報を提供するようになりました。 近年では、この表示器がLCD(液晶ディスプレイ)に交換された編成も登場しています。

座席のモケット(布地)の色や袖仕切りの形状も製造時期や更新時期によって異なり、様々なバリエーションが存在します。 初期に製造された車両は袖仕切りが小さいタイプでしたが、更新工事によって大型のものに交換されている場合もあります。

バリアフリーへの対応

3700形は、バリアフリーにも配慮された設計となっています。先頭車両には車椅子スペースが設けられており、多くの人が利用しやすいようになっています。 ただし、ごく初期に製造された車両の一部には、登場時に車椅子スペースが設置されていなかった編成も存在しました。

ドア付近にはドアチャイムが設置され、ドアの開閉を音で知らせることで、目の不自由な方にも配慮しています。また、優先席エリアの座席モケットは一般席とは異なる色分けがされており、視覚的に分かりやすくなっています。 近年の更新工事では、室内灯がLED照明に交換されるなど、より明るく快適な車内環境へと改良が進められています。

多彩なバリエーションと編成

3700形は製造時期や編成の長さによって、いくつかのバリエーションが存在します。ここでは、その違いや編成ごとの特徴について掘り下げていきます。

1次車から8次車までの違い

3700形は、1991年から2002年にかけて、大きく分けて8つのグループ(次車)に分けて製造されました。 製造年次によって細かな仕様変更が行われており、それぞれに特徴があります。

次車分類 製造年 主な特徴
1次車~5次車 1991年~1998年 前面のヘッドライトが下部にある初期デザイン。登場時はスカートがなかった。
6次車 2000年 前面デザインが変更され、ヘッドライトが上部に移動。 このグループで初めて6両編成が登場した。
7次車 2001年 制御装置がGTO-VVVFからIGBT-VVVFに変更され、モーター音が変化した。
8次車 2001年~2002年 後期デザインの8両編成。

このほかにも、パンタグラフが下枠交差式からシングルアーム式に変更されたり、運行番号表示器がマグサイン式からLED式に変更されたりと、細かな改良が加えられています。

搭載されている機器(VVVFインバータ)

3700形の心臓部ともいえるVVVFインバータ装置は、主に2種類が存在します。

1次車から6次車、そして8次車(3858編成まで)に搭載されているのは、GTO(ゲート・ターン・オフ・サイリスタ)素子を使用したVVVFインバータです。 発車時に「ヒュイーン」という独特の磁励音(じれいおん)が特徴で、この音を聞くと3700形を思い浮かべる方も多いでしょう。

一方、7次車と8次車(3868編成)では、より新しいIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)素子を使用したVVVFインバータが採用されています。こちらはGTO素子に比べて静かで、発車時の音も異なります。さらに最近では、一部の編成で機器更新が行われ、最新のSiC(炭化ケイ素)素子を適用したVVVFインバータ装置に交換された車両も登場しています。 これにより、さらなる省エネ化が図られています。

編成ごとの特徴(8両編成と6両編成)

3700形には、8両編成6両編成の2種類が存在します。

8両編成は、主に京成本線や押上線での快速特急・特急・快速といった優等列車で活躍しています。 また、都営浅草線や京急線、北総線への相互直通運転にも対応しており、羽田空港から成田空港までを結ぶ重要な役割を担っています。

一方、6両編成は、2000年に登場した6次車が初めてです。 こちらは主に京成本線の普通列車や、千葉線、千原線、金町線といった支線での運用が中心です。 8両編成に比べて小回りが利くため、様々な路線で活躍する姿を見ることができます。現在、3700形の6両編成は2編成が在籍しています。

幅広い運用範囲と現在の活躍

3700形は京成線内だけでなく、相互直通運転を行う各社の路線でも活躍しています。ここでは、その幅広い運用範囲と現在の活躍の様子をご紹介します。

京成線内から相互直通運転まで

3700形の運用範囲は非常に広く、京成電鉄のほぼ全線でその姿を見ることができます。 8両編成は主に本線の優等列車として京成上野~成田空港間を走り、6両編成は普通列車として本線や千葉線・千原線で運用されています。

さらに、3700形の大きな特徴はその直通運転範囲の広さです。

  • 都営地下鉄浅草線:押上駅から泉岳寺駅までの全線
  • 京浜急行電鉄:泉岳寺駅から羽田空港国内線ターミナル駅や、三崎口駅まで
  • 北総鉄道:京成高砂駅から印旛日本医大駅までの全線
  • 芝山鉄道:東成田駅から芝山千代田駅まで

このように、東は成田空港・芝山千代田、西は羽田空港・三崎口まで、千葉・東京・神奈川の1都2県をまたにかけて広範囲で活躍しています。

「アクセス特急」での運用

3700形は、成田スカイアクセス線を経由する「アクセス特急」の運用にも入ることがあります。

成田スカイアクセス線は最高速度120km/hでの運転が可能ですが、3700形もこの高速運転に対応するための改造を受けています。 通常、アクセス特急は専用車両である3050形や3100形が主に使われますが、車両不足時などには3700形が代走として運用に入ることがあり、普段とは違う路線で活躍する姿を見ることができます。

アクセス特急として走る際は、オレンジ色の種別表示が特徴です。京成本線経由の列車とは異なるルートを走るため、乗り間違えないように注意が必要です。

北総鉄道や千葉ニュータウン鉄道へのリース

3700形の一部編成は、京成グループである北総鉄道千葉ニュータウン鉄道へリース(貸し出し)され、それぞれの会社の車両として活躍しています。

北総鉄道へリースされた車両は「7800形」として、車体の帯が北総カラーの青色と水色に変更されています。 また、千葉ニュータウン鉄道へリースされた車両は「9800形」となり、こちらは黄色と水色の帯をまとっています。

これらの車両は、見た目は帯の色が違うだけで3700形とほぼ同じですが、それぞれの会社の保有車両として運用されています。 リースという形でグループ会社を支えるのも、3700形の重要な役割の一つです。 このように、様々なカラーリングの3700形(の兄弟)が同じ路線を走っているのも、このエリアの鉄道の面白い点と言えるでしょう。

3700形の現状と今後の展望

デビューから30年以上が経過した3700形。近年では廃車や機器更新といった動きも見られます。ここでは、3700形の「今」と「これから」について見ていきましょう。

初期車の廃車と置き換え

製造から30年を超えた初期の編成を中心に、残念ながら廃車となる車両も出始めています。 主に事故による損傷が原因で廃車となったケースや、車両の置き換え計画に伴うものが考えられます。

京成電鉄では、新型車両である3100形などの導入を進めており、これによって古い車両が順次引退していくことになります。3700形も初期に製造された車両から、徐々にその数を減らしていく可能性があります。 長年にわたり活躍してきた車両の引退は寂しいものですが、安全で快適な輸送を維持するためには必要な世代交代と言えるでしょう。

リニューアルや機器更新の状況

一方で、まだ活躍が見込まれる編成については、延命とサービス向上を目的としたリニューアルや機器更新が進められています。

車内では、座席モケットの交換や、室内灯のLED化、ドア上の案内表示器を液晶ディスプレイ(LCD)に交換するなどのリニューアルが行われています。 これにより、古い車両でも新しい車両に見劣りしない快適な空間が提供されています。

さらに、2024年には一部の編成でVVVFインバータ装置を最新のものに交換する「機器更新」が初めて実施されました。 GTO素子から最新のSiC素子を使った装置に交換することで、消費電力をさらに削減し、環境負荷を低減する効果が期待されています。 このような更新は車両の寿命を延ばすことにも繋がるため、今後他の編成にも広がるか注目されます。

今後の活躍はどうなる?

初期の車両に廃車が出ている一方で、機器更新などの延命工事も始まっている3700形。今後は、編成によってその運命が分かれていくと考えられます。

状態の良い中期以降の編成や、機器更新を受けた編成は、これからも京成の主力車両の一つとして活躍を続けるでしょう。特に、広範囲な直通運転に対応できる性能は、まだまだ重宝されるはずです。また、北総鉄道や千葉ニュータウン鉄道へのリース車としても、引き続き重要な役割を担っていくことが予想されます。

新型車両の導入が進む中で、徐々にその数を減らしていくことは避けられませんが、まだしばらくは京成線や乗り入れ先の各線で、その元気な姿を見ることができそうです。

まとめ:京成3700形の魅力を再発見

今回は、京成電鉄の主力車両の一つである3700形について、その特徴から現在の活躍までを詳しく解説しました。京成初のVVVFインバータ制御採用車として華々しくデビューし、30年以上にわたって首都圏の広範囲なネットワークを支え続けています。

製造時期によるデザインの違い、GTO素子が生み出す独特の走行音、そして北総鉄道や千葉ニュータウン鉄道へのリースといった多彩な活躍は、3700形の奥深い魅力を物語っています。近年では廃車が始まる一方で、延命のための機器更新も行われており、まだまだ活躍が期待される車両です。

次に3700形に乗車する機会があれば、ぜひこの記事で紹介したポイントに注目してみてください。きっと、いつもとは違う発見があるはずです。

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