「9101f」の正体は2つ?東武鉄道と東京メトロの試作車を徹底解説!

鉄道の仕組みと用語解説

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もしかしたら、「特徴的な見た目の電車だったな」「最近見かけないけど、どうなったんだろう?」といった疑問をお持ちかもしれません。実はこの「9101f」という番号は、東武鉄道と東京メトロ、2つの会社が所有するそれぞれ異なる車両を指すのです。どちらも「試作車」として生まれ、量産車とは一味違う個性を持っていました。

この記事では、多くの鉄道ファンに愛されながらも引退した東武鉄道の「9101F」と、今も現役で活躍を続ける東京メトロの「9101F」、2つの車両の魅力と歴史を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。それぞれの車両が歩んだ道のりや、両者の違いを知ることで、「9101f」というキーワードへの理解が深まるはずです。

ファンの記憶に残る名車「東武鉄道9000系 9101F」

まずご紹介するのは、東武鉄道の9000系電車、9101F編成です。1981年に登場し、2023年に引退するまでの約42年間、多くの人々の足として活躍しました。特に、後から製造された量産車とは異なる点がいくつもあり、鉄道ファンの間では非常に人気の高い車両でした。ここでは、その誕生の背景から引退までの道のり、そしてファンに愛された理由を詳しく見ていきましょう。

試作車として誕生した背景

東武9000系9101Fは、将来の地下鉄有楽町線との相互直通運転に備えて、1981年に製造された試作車です。 当時の東武鉄道にとっては、初の10両固定編成であり、車体もそれまでの鋼製ではなく、軽量なステンレスを採用するなど、数々の新しい技術が盛り込まれました。

直通運転が実際に開始されたのは1987年ですが、それまでの約6年間、9101Fは東上線内での営業運転や乗務員の習熟訓練などに使用されました。 この先行導入により、様々なデータ収集や試験が行われ、その結果が後の量産車(9102F以降)や、地上線用の10000系電車の設計に活かされていきました。 まさに、東武鉄道の新しい時代を切り開くための先駆けとなった車両と言えるでしょう。外観も、それまでの車両とは一線を画す銀色の車体にロイヤルマルーンの帯を締めた姿は、当時の利用者に新鮮な印象を与えました。 このように、9101Fは来るべき地下鉄直通時代に向けて、重要な役割を担うために誕生した特別な車両だったのです。

量産車とはここが違う!特徴的な仕様

9101Fが「特別な存在」としてファンから注目された最大の理由は、その後に製造された量産車との間に多くの仕様の違いがあった点です。試作車ならではの個性的な特徴が、随所に見られました。

最も分かりやすい違いは、側面の行先表示器の位置です。 量産車では車体の中央に設置されていますが、9101Fは直通先の営団地下鉄(当時)7000系に合わせて、車体の端に設置されていました。 また、車内のデザインも異なり、床の色が量産車のらくだ色に対して9101Fはダークグレーでした。 さらに、ドアが開閉する際の音も、8000系に近い独特のもので、音で9101Fだと分かったファンも少なくありません。

これらの違いは、試作車として8000系をベースに設計された名残でもあります。 ドアの配置も量産車とは微妙に異なっていたため、副都心線対応のホームドアに対応できず、大規模なリニューアル工事の対象から外れる一因となりました。 このような細かな仕様の違いが、9101Fの個性を際立たせ、ファンを惹きつける魅力となっていたのです。

【チョッパ制御とは?】
9101Fが採用していた「電機子チョッパ制御」は、モーターに流す電気を細かくON/OFFすることで速度を制御する方式です。省エネ性能に優れ、1970年代から80年代にかけて多くの電車で採用されました。独特のモーター音が特徴で、この音に懐かしさを感じるファンも多いです。

晩年の活躍と引退までの経緯

大規模なリニューアルの対象外となった9101Fは、2008年の副都心線開業後、同線への乗り入れができないことを示す「Y」マークを付けて、主に有楽町線直通や東上線内の地上運用で活躍しました。 その後、保安装置の更新などもあり、地下鉄直通運用から撤退し、晩年は東上線内(池袋~小川町間)のローカル運用が中心となりました。

長年の活躍で老朽化が進み、故障も増えていきました。そして2021年6月、準急・森林公園行きの運用中に車両故障を起こし、そのまま運用を離脱。 約2年間にわたり車庫に留置され、ファンからはその動向が注目されていましたが、修理されることはなく、2023年10月に廃車・解体のため回送されました。 40年以上にわたる活躍の末の、静かな幕引きでした。試作車という特殊な成り立ちゆえに延命が難しかったとされていますが、多くのファンに惜しまれながらその生涯を終えました。 現在は、解体されたものの先頭車両2両のみが保管されています。

2021年の故障から約2年間、森林公園検修区に留置されていた9101F。ファンの間では「修理されて復帰するのではないか」「このまま廃車になってしまうのか」と様々な憶測が飛び交い、その動向は常に注目の的でした。

なぜ多くのファンに愛されたのか

なぜ東武9000系9101Fは、これほどまでに多くのファンから愛されたのでしょうか。その理由は、単に「古い車両だったから」というだけではありません。

一つは、「唯一無二の存在」であったことが挙げられます。量産車とは異なる外観や内装、走行音など、試作車ならではの個性が際立っていました。 多くの車両がリニューアルで姿を変えていく中、登場時に近い姿を最後まで保ち続けたことも、その希少価値を高めました。 まるで、時代の流れに抗うかのようなその姿に、魅力を感じるファンが多かったのです。

また、その生涯もドラマチックでした。華々しくデビューしながらも、後輩である量産車とは異なる道を歩み、晩年は活躍の場を狭めながらも走り続けた姿。そして、突然の故障による運用離脱と、2年間の沈黙の後の引退。そうした数奇な運命に、多くのファンが思いを馳せ、感情移入したのかもしれません。東武鉄道の新しい時代を切り拓いた功労者でありながら、どこか哀愁漂う存在。それが、9101Fが多くの人の記憶に深く刻まれている理由なのでしょう。

今も現役で活躍中!「東京メトロ9000系 9101F」

さて、もう一つの「9101f」は、東京メトロ南北線で活躍する9000系電車のトップナンバー、9101F編成です。東武の9101Fが引退した今、「9101f」といえば、こちらの車両を指すことが多くなっています。こちらも試作車として生まれましたが、大規模なリニューアルを経て、現在も第一線で活躍を続けています。

南北線開業と共に生まれた試作車

東京メトロ9000系9101Fは、1991年の南北線開業に合わせて、その前年に先行試作車として製造されました。 当時まだ建設中だった南北線での試験走行のため、一時的に千代田線を走行して各種性能試験を行ったという経歴も持っています。

この9101Fは、その後の量産車(2次車以降)とは異なる点がいくつかあります。例えば、登場時の車内は、座席の肘掛け部分が茶色で、手すりの形状も異なっていました。 また、バケットシート(一人分ずつ窪みのついた座席)もこの編成で試作的に採用され、その座り心地は量産車とは異なると言われています。 さらに、制御装置(モーターを制御する機械)も、1編成の中に三菱製と日立製の2種類を搭載するという、試作車ならではの珍しい構成でした。

このように、南北線の新しい標準車両を確立するための様々な試験的要素が盛り込まれており、東武の9101Fと同様に、路線の未来を担う重要な役割を持って誕生した車両なのです。

ワンマン運転の先駆け
東京メトロ南北線は、開業当初からATO(自動列車運転装置)を使用したワンマン運転を行っています。9000系は、そのための設備を当初から搭載して登場しました。9101Fは、まさに日本の地下鉄におけるワンマン運転の歴史の始まりを告げる車両でもあったのです。

B修繕によるリニューアル

製造から25年以上が経過した9101Fは、2019年に「B修繕」と呼ばれる大規模なリニューアル工事を受けました。 この工事により、内外装が大幅に更新され、新車に近い姿に生まれ変わっています。

主な変更点としては、まず制御装置が最新のフルSiC-VVVFインバータ装置に統一・換装されたことが挙げられます。 これにより、走行性能の向上とさらなる省エネルギー化が図られました。特徴的だった三菱製と日立製の混載は見られなくなりましたが、現代の車両として走り続けるための重要なアップデートです。車内もリニューアルされ、座席のモケット(表地)が新しいデザインになったほか、ドア上の案内表示器が液晶ディスプレイ(LCD)に交換されるなど、快適性や利便性が大きく向上しています。

一方で、試作車時代の名残も一部残されています。例えば、スプリングの入った独特な座り心地のバケットシートは、モケットを張り替えた上で再利用されており、今でも試作車ならではの雰囲気を体感することができます。 B修繕は、車両の寿命を延ばし、時代のニーズに対応させながら、その車両が持つ歴史も尊重する工事と言えるでしょう。

現在の運用情報と見つけ方

B修繕を終えてリフレッシュした9101Fは、現在も他の9000系量産車と共通で、東京メトロ南北線を主軸に活躍しています。

具体的な運用範囲は、南北線の赤羽岩淵駅から目黒駅までにとどまらず、相互直通運転を行っている埼玉高速鉄道線の浦和美園駅から、東急目黒線を経由して東急新横浜線の新横浜駅までと非常に広大です。そのため、東京都内だけでなく、埼玉県や神奈川県でもその姿を見ることができます。

特定の編成の運用を狙って乗車するのは簡単ではありませんが、「東京メトロアプリ」などの公式アプリでは、列車の走行位置情報を提供している場合があります。また、鉄道ファンがSNSなどで目撃情報を共有していることもありますので、そうした情報を参考にすると、遭遇できる確率が上がるかもしれません。

9000系の中でも唯一の試作車であり、B修繕を経てもなお量産車とは異なる特徴を残す9101F。もし南北線や東急目黒線を利用する機会があれば、ぜひ車内の座席や細かな違いに注目してみてください。東武の9101Fが伝説となった今、現役で走るもう一つの「9101F」の姿は、より一層貴重なものと言えるかもしれません。

2つの「9101F」を見分けるポイント

ここまで、東武鉄道と東京メトロ、それぞれの「9101F」について解説してきました。どちらも試作車として個性的な車両ですが、見慣れていないと混同してしまうかもしれません。ここでは、両者を見分けるための簡単なポイントをいくつかご紹介します。

車体のデザインとカラーリング

最も分かりやすい見分け方は、車体のデザインとカラーリングです。

東武9000系9101Fは、コルゲートと呼ばれる波板状のステンレス板が特徴的な銀色の車体でした。 車体の帯の色は「ロイヤルマルーン」と呼ばれる、赤みがかった茶色一色です。 全体的に角ばったデザインで、力強い印象を受けるのが特徴です。

一方、東京メトロ9000系9101Fの車体は、アルミニウム合金製で、表面は滑らかな仕上げになっています。 車体の帯は、南北線のラインカラーであるエメラルドグリーンを基調とし、その上下に白と黒の細い線が入っています。前面は丸みを帯びたデザインで、優しい印象を与えます。このように、帯の色を見るだけで、どちらの車両かは一目瞭然です。

走行路線と運用範囲

両者が走行していた(いる)路線も全く異なります。これも見分けるための重要なポイントです。

東武9000系9101Fは、その生涯のほとんどを東武東上線(池袋~寄居)で過ごしました。一時期は地下鉄有楽町線にも乗り入れていましたが、晩年は東上線内のみの運用でした。 したがって、池袋駅や川越駅、森林公園駅などで見かけることができた車両です。

対して、東京メトロ9000系9101Fは、現在も東京メトロ南北線、そして直通先の埼玉高速鉄道線東急目黒線・新横浜線で活躍しています。目黒駅や王子駅、浦和美園駅、新横浜駅などで見ることができます。もしあなたがこれらの路線を利用しているなら、見かける可能性があるのは東京メトロの9101Fということになります。走行エリアが全く重なっていないため、どこで見たかによっても判別が可能です。

簡単な見分け方のまとめ

これまでのポイントを、簡単な表にまとめてみました。もし街で電車を見かけて「あれはどっちの9101Fだろう?」と思ったら、この表を参考にしてみてください。

東武鉄道9000系 9101F 東京メトロ9000系 9101F
現在の状況 2023年に引退・廃車 現役で活躍中
車体の帯の色 ロイヤルマルーン(赤茶色) エメラルドグリーン
主な走行路線 東武東上線 東京メトロ南北線、東急目黒線など
車体の特徴 コルゲートのあるステンレス車体 滑らかなアルミニウム車体
前面の印象 角ばったデザイン 丸みを帯びたデザイン

まとめ:「9101f」が持つ特別な意味

この記事では、「9101f」というキーワードの正体である、東武鉄道9000系と東京メトロ9000系、2つの試作車について詳しく解説してきました。

東武の9101Fは、量産車とは異なる仕様を持ちながらも、新しい時代を切り拓く先駆者として走り続け、多くのファンに愛されながらその生涯を終えました。一方、東京メトロの9101Fは、大規模なリニューアルを経て、今なお現役で首都圏の交通を支えています。

偶然にも同じ「9101F」という番号を与えられた2つの車両。それぞれの鉄道会社で試作車として生まれ、異なる運命を辿りました。このキーワードは、単なる車両番号ではなく、鉄道の歴史における一つの「個性」と「物語」の象徴と言えるのかもしれません。もし今後あなたが電車に乗る機会があれば、普段何気なく見ている車両にも、実は特別な歴史やストーリーが隠されているかもしれない、という視点で見てみると、新たな発見があるかもしれません。

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