福岡・北九州都市圏を中心に、JR九州の「赤い電車」として親しまれている813系。 1994年のデビュー以来、私たちの足として活躍してきましたが、近年大規模なリニューアルが進められています。 この記事を読んでいるあなたも、「リニューアルで何が変わったの?」「どうしてロングシートになったの?」と気になっているのではないでしょうか。
今回のリニューアルは、見た目の変化だけでなく、車内の快適性や輸送効率の向上を目的とした様々な改良が加えられています。特に、これまでの転換クロスシートからオールロングシートへの変更は、大きな話題を呼んでいます。 この記事では、そんな813系リニューアルの具体的な変更点から、リニューアルの背景、今後の運用計画、そして利用者の声まで、気になる情報をわかりやすくまとめています。新しく生まれ変わる813系の姿を、一緒に見ていきましょう。
813系リニューアルとは?注目の変更点を解説
長年にわたり九州の通勤・通学輸送を支えてきた813系ですが、さらなるサービス向上と効率化を目指し、大規模なリニューアル計画が進行中です。この計画は、単なる延命工事にとどまらず、現代のニーズに合わせた車両へと生まれ変わらせることを目的としています。
リニューアルの背景と目的
今回の813系リニューアルの最も大きな目的は、都市圏の混雑緩和です。 これまで813系の座席は、進行方向に向けて座れる「転換クロスシート」が主流でした。 旅行などの長距離移動には快適ですが、朝夕のラッシュ時には乗降に時間がかかり、車内の通路が狭くなるという課題がありました。そこで、座席をドアと平行に配置する「ロングシート」に変更することで、車内スペースを広く確保し、スムーズな乗降と混雑緩和を目指しています。 JR九州の発表によると、ロングシート化によって1編成(3両)あたりの定員が90名増加するとのことです。
また、このリニューアルには、以前行われた一部座席の撤去が不評だったという背景もあります。 混雑対策として一部の編成で座席を撤去したところ、座席数が大幅に減少し、利用者からの不満の声が多く上がりました。 今回のロングシート化は、定員を増やしつつ座席数も確保する(座席撤去車と比較して48席増加)という、課題解決策の一つとなっています。
対象となる編成と今後のスケジュール
今回のリニューアル(ロングシート化)の対象となるのは、813系の全82編成・246両です。 これまで様々なバリエーションが存在した813系ですが、今回のリニューアルによって内装の仕様がある程度統一されることになります。 リニューアル工事は2023年12月から順次開始されており、2028年度に全編成の工事が完了する予定です。
さらに、JR九州が公開した有価証券報告書によると、ロングシート化を含む813系のリニューアル計画は、2038年まで続く長期的なものになることが示されています。 ロングシート化が完了する2028年以降も、約10年間にわたって何らかの更新工事が行われる見込みです。 これには、車両の主要な機器を新しいものに交換する「機器更新」などが含まれると推測されており、813系が今後も長期にわたって活躍することが期待されます。 1994年にデビューした初期の車両は、リニューアル完了時には車齢40年を超えるベテラン車両となります。
一目でわかる!リニューアル前後の比較
リニューアルによって813系がどのように変わったのか、主な変更点を表にまとめました。最大の変更点である座席のほか、外観にも細かな変化が見られます。
813系リニューアル 主な変更点まとめ
| 項目 | リニューアル前 | リニューアル後 |
|---|---|---|
| 車内座席 | 転換クロスシート(一部ボックスシート) | オールロングシート(車端部のボックスシートは存続) |
| 定員(3両編成) | 編成により異なる | 90名増加(クロスシート車両比) |
| 外観(前面) | 貫通扉に窓と幌(ほろ) | 貫通扉が塞がれ、黒い化粧板で覆われる(一部編成) |
| 行先表示器 | 幕式または3色LED | フルカラーLED(一部編成から順次) |
| その他 | – | ワンマン運転対応機器の設置(一部編成) |
車端部の4人掛けボックスシートは、今回のリニューアル後も残されます。 これにより、混雑緩和と長距離利用者の快適性確保の両立を図っています。
【車内編】インテリアの劇的な変化

今回のリニューアルで最も大きく変わったのが車内です。特に座席配置の変更は、利用者の乗り心地や車内での過ごし方に直接影響を与えるため、多くの注目を集めています。ここでは、新しくなった813系のインテリアについて詳しく見ていきましょう。
最大の変更点!オールロングシート化
今回のリニューアルの目玉は、なんといっても座席のオールロングシート化です。 これまでの転換クロスシートは、窓を向いて座れるため景色を楽しめる一方、ラッシュ時には人の流れを妨げやすいという側面がありました。新しいロングシートは、JR九州の他の新型車両でも採用されている、一人ひとりの着座スペースが分かりやすいバケットタイプのものが採用されています。 モケット(座席の布地)のデザインも一新され、車内全体が明るく、現代的な雰囲気になりました。
このロングシート化により、ドア付近のスペースが大幅に拡大しました。これにより、ラッシュ時の乗り降りがスムーズになるほか、ベビーカーや大きな荷物を持ったお客様も利用しやすくなるというメリットが生まれます。また、通路幅が広がることで車内の見通しが良くなり、防犯性の向上も期待されています。ただし、これまでのように進行方向を向いて座ることができなくなるため、特に長距離を移動する利用者からは、快適性の低下を懸念する声も聞かれます。
バリアフリー設備の拡充
リニューアル後の813系では、バリアフリー設備の充実も図られています。もともと設置されていた車いすスペースは、今回のリニューアルに合わせて、より利用しやすいように改良が加えられる可能性があります。オールロングシート化によって生まれた車内の広いスペースは、車いす利用者が車内を移動しやすくなることにも繋がります。
また、ドアの開閉を知らせるチャイムや、ドア上に設置される案内表示器なども、より分かりやすいものに更新されることが考えられます。これらの改良は、高齢者や障がいを持つ方だけでなく、すべてのお客様が安心して鉄道を利用できる環境づくりに不可欠です。JR九州では、他の形式の車両リニューアルにおいてもバリアフリー対応を進めており、813系においても同様の思想が反映されています。今後、リニューアルが進むにつれて、さらに詳細なバリアフリー設備の仕様が明らかになっていくことでしょう。
その他の内装の変更点(照明、ドアなど)
座席以外にも、車内の快適性を向上させるための細かな変更が加えられています。例えば、車内照明です。これまでの蛍光灯から、より明るく消費電力の少ないLED照明への交換が進められています。LED照明は、車内を均一に明るく照らすことができるため、読書などがしやすくなるほか、車両の省エネルギー化にも貢献します。
また、乗降ドアの内側も、従来のステンレス無塗装から化粧シートが貼られるなど、内装全体のデザインと統一感が図られています。ドア付近の床には、注意を促す黄色のラインが引かれ、安全性が向上しています。これらの変更は、一見すると地味かもしれませんが、毎日利用する乗客にとっては、車内の雰囲気や快適性を左右する重要な要素です。リニューアルされた車両に乗車した際には、ぜひこうした細かな変化にも注目してみてください。
【外観編】エクステリアの変更点
車内の変化に注目が集まりがちな813系のリニューアルですが、外観(エクステリア)にもいくつかの変更点が見られます。毎日見かける車両だからこそ、少しの変化にも気づく鉄道ファンは多いのではないでしょうか。ここでは、外観の主な変更点を解説します。
前面デザインの変更(貫通扉とロゴ)
リニューアルされた編成の中で、特に分かりやすい変化の一つが前面の貫通扉です。813系は、複数の編成を連結して運転することが多いため、編成と編成の間を乗務員が移動できるよう、前面に貫通扉が設置されています。従来、この扉には窓がありましたが、リニューアルされた一部の編成では、この窓が塞がれ、黒い化粧板で覆われています。これにより、引き締まった精悍な顔つきになりました。
また、先頭車両の前面、運転席窓の下にある「CT」のロゴマーク(Commuter Trainの略)も、リニューアルを機に新しいデザインに変更されたり、撤去されたりする可能性があります。これらの変更は、全編成に一律で行われるわけではなく、改造を担当する工場や時期によって仕様が異なる場合があるため、様々な表情の813系が見られるかもしれません。
行先表示器のフルカラーLED化
行先表示器の更新も、外観における大きな変更点です。 これまでの813系では、字幕(ロールサイン)式や、オレンジ・赤・緑の3色で表示するLED式の行先表示器が使われていました。これが、リニューアルによってフルカラーLED式に交換されています。フルカラーLEDは、非常に明るく、日中の屋外でも高い視認性を誇ります。
さらに、多彩な色を使って表示できるため、普通、快速、準快速といった列車の種別を色分けして表示することが可能です。例えば、快速列車を赤色で表示するなど、乗客が一目で列車の種別を識別しやすくなります。これにより、乗り間違いを防ぐ効果が期待できます。また、英語表記や、経由地などを細かく表示することも可能になり、観光客を含めたすべてのお客様にとって、より親切な案内が提供できるようになります。
車体側面のデザインとロゴマーク
車体側面にも細かな変更が加えられています。813系の特徴である、乗降ドア横の大きなJRマークや、独自のロゴデザインは、リニューアル後も基本的には引き継がれています。しかし、一部の編成では、これらのステッカー類が新しいものに貼り替えられ、より鮮明になっています。
特に注目したいのが、ワンマン運転に対応した編成に施されるデザインです。ワンマン運転を行う車両には、乗客に乗降口を分かりやすく示すための表示や、後方確認用のカメラが設置されることがあります。813系のリニューアルにはワンマン運転への対応も含まれているため、今後、側面カメラの設置や、ドア横に「乗るときはボタン」「おりるときはボタン」といった案内ステッカーが追加される編成が増えていくと考えられます。これらの小さな変化も、813系が新しい役割を担っていく証と言えるでしょう。
813系リニューアル車の運用情報
リニューアル工事を終えた813系は、すでに見慣れた路線で新しい姿を見せ始めています。内装や外観が変わったことで、乗り心地だけでなく、運用される区間や方法にも変化があるのでしょうか。ここでは、リニューアル後の813系の活躍の舞台について解説します。
主な運用線区と区間
リニューアルされた813系は、これまでと同様にJR九州の主要な交流電化区間で活躍しています。 具体的な運行区間は以下の通りです。
- 鹿児島本線(門司港駅~荒尾駅)
- 日豊本線(小倉駅~佐伯駅)
- 長崎本線(鳥栖駅~江北駅)
- 筑豊本線・篠栗線(福北ゆたか線)(博多駅~直方駅)
これらの路線は、福岡都市圏や北九州都市圏を貫く九州の大動脈であり、通勤・通学客で特に混雑が激しい区間です。今回のリニューアルの主目的が混雑緩和であることから、引き続きこれらの幹線でその性能を発揮することが期待されています。 ロングシート化によって収容力が向上した車両は、特にラッシュ時間帯の快速や普通列車を中心に投入されています。
最近では、3両編成を2本つないだ6両編成の運用を基本とするため、中間に連結された先頭車両を実質的な中間車として改造し、6両固定編成とする動きも見られます。 これにより、運用の効率化を図っています。
ワンマン運転への対応と今後の展望
今回のリニューアルでは、ワンマン運転に対応するための改造も併せて行われています。ワンマン運転とは、運転士が一人で車両の運転とドアの開閉、安全確認まで行う運転方式のことです。地方路線だけでなく、都市部でも効率化のために導入が進んでいます。
813系にワンマン対応機器(乗降確認用のカメラや、運賃箱、整理券発行機など)を搭載することで、これまで車掌が乗務していた列車をワンマン化することが可能になります。これにより、JR九州はより柔軟な人員配置が可能となり、経営の効率化に繋がります。今後は、特に日中の利用者が比較的少ない区間や時間帯を中心に、リニューアルされた813系によるワンマン運転が拡大していくことが予想されます。乗客にとっては、これまでと乗り方が変わる可能性があるため、駅や車内の案内に注意が必要です。
リニューアル車と従来車の見分け方
「新しい813系に乗ってみたい!」と思っても、どの列車がリニューアル車なのか見分けるのは難しいかもしれません。確実に見分けるには、やはり車内に入って座席を確認するのが一番です。ドアから中を覗いて、座席がロングシートになっていれば、その車両はリニューアル車です。
外観からの見分け方としては、行先表示器がヒントになります。もし、行先表示がくっきりとしたフルカラーLEDで表示されていれば、リニューアル車である可能性が高いです。また、前述の通り、前面の貫通扉が黒い板で塞がれている編成もリニューアル車の一つの特徴です。しかし、これらの外観の変更は、リニューアルの途中で仕様が変わる可能性もあるため、決定的な見分けるポイントとは言えないかもしれません。
現在、リニューアルは進行中であり、従来型のクロスシート車もまだまだたくさん走っています。 鹿児島本線や日豊本線で列車を待っている間に、リニューアル車と従来車を見比べてみるのも、鉄道の楽しみ方の一つかもしれません。
813系リニューアルのまとめ

この記事では、JR九州の主力近郊型電車である813系のリニューアルについて、その背景から具体的な変更点、今後の運用まで詳しく解説してきました。最後に、今回のリニューアルのポイントを簡潔に振り返ってみましょう。
【813系リニューアルの重要ポイント】
- 最大の目的は「混雑緩和」:都市部のラッシュに対応するため、定員を増やすことが急務でした。
- 全編成が「オールロングシート」に:最大の変更点であり、車内空間の使い方が大きく変わります。ただし、車端部のボックスシートは存続します。
- 長期的なリニューアル計画:ロングシート化は2028年度に完了予定ですが、機器更新などを含めた計画は2038年まで続きます。
- 外観も変化:行先表示器のフルカラーLED化や、一部編成での前面デザイン変更など、見た目も新しくなっています。
- ワンマン運転への対応:今後の効率的な運用を見据え、ワンマン運転に対応する改造も進められています。
転換クロスシートがなくなることに寂しさを感じる声もありますが、今回のリニューアルは、これからも813系が九州の鉄道ネットワークの主役であり続けるために不可欠なアップデートと言えるでしょう。 新しく生まれ変わった813系が、私たちの毎日をより快適に、そして安全に支えてくれることを期待しましょう。



コメント