岡山と山陰を結ぶ特急「やくも」。この路線に、約40年ぶりとなる新型車両273系が導入され、大きな注目を集めています。 この記事では、話題の「273系増備」について、鉄道にあまり詳しくない方にもご理解いただけるよう、やさしく解説していきます。
なぜ新しい車両が必要になったのか、いつからすべての「やくも」が新型になるのか、そして新しい車両は何がすごいのか。 そんな疑問に一つひとつお答えしながら、273系の魅力と、これから山陰への旅がどう変わるのかを詳しくご紹介します。この記事を読めば、あなたもきっと新型「やくも」に乗りたくなるはずです。
特急やくも273系と島根名物パラパン🌹
ガチで撮影している方々にまじり、ドキドキしながら撮影したリストショット。 pic.twitter.com/H2DBxzb35i
— mutsuyo.ito_parakeITO (@MutsuyoP) November 17, 2025
273系増備計画の全貌~いつ、どれだけ増えるのか~
多くの鉄道ファンや利用者が心待ちにしていた新型車両273系。その導入は「増備」という形で段階的に進められました。ここでは、具体的な導入スケジュールや、長年活躍してきた381系との交代劇、そして増備が完了したことで「やくも」がどのように生まれ変わったのかを見ていきましょう。
導入スケジュールと投入編成数
新型やくも273系は、2024年4月6日にデビューしました。 当初は、岡山と出雲市を結ぶ15往復のうち6往復から運行を開始しました。 その後、ゴールデンウィーク期間を含む4月26日から8往復に、5月7日からは10往復へと段階的に投入数を増やしていきました。 そして、2024年6月15日には、ほぼ全ての定期列車が273系に置き換えられ、本格的な新時代が到来しました。
今回増備されたのは、4両編成を11本、合計44両です。 これにより、利用者はどの時間の「やくも」に乗っても、最新の設備と快適な乗り心地を体験できるようになったのです。 また、JR西日本の発表によると、今後の需要に応じてさらに増備される可能性も示唆されており、今後の展開にも期待が寄せられています。
273系 段階的導入のステップ
- 2024年4月6日:デビュー!15往復中6往復が273系に。
- 2024年4月26日~5月6日:15往復中8往復に拡大。
- 2024年5月7日~:15往復中10往復に拡大。
- 2024年6月15日~:ほぼ全ての定期列車(全15往復)が273系での運行に。
置き換えられる国鉄型381系
273系の増備は、長年にわたり「やくも」として活躍してきた国鉄型381系電車の置き換えを目的としています。 381系は1973年に登場した日本初の「振り子式車両」で、「やくも」には1982年から投入されました。 以来、約40年もの間、山陽と山陰を結ぶ大動脈を支え続けてきた、まさに”レジェンド”とも言える車両です。
しかし、製造から長い年月が経過し、老朽化が進んだことから、今回の新型車両導入に至りました。381系の定期運行は2024年6月15日の「やくも1号」が最後となりました。 引退に際しては、国鉄時代の塗装を復刻したリバイバル編成が運行されるなど、多くのファンがその最後の雄姿を見送りました。 「スーパーやくも色」のパノラма編成は4月5日に、「国鉄色」と「緑やくも色」は6月14日にそれぞれ運行を終了しています。 長い間、多くの人々の移動を支えてきた381系は、新型273系にその役目を引き継ぎ、静かに舞台を降りました。
381系の一部車両は、定期運行終了後も臨時列車などで運行される可能性が示唆されています。 もしかしたら、また会える機会があるかもしれませんね。
増備がもたらす「やくも」の未来
今回の273系増備完了は、単に車両が新しくなったというだけではありません。山陽と山陰を結ぶ移動の質を大きく向上させる、重要な一歩と言えるでしょう。まず、最大のメリットは快適性の飛躍的な向上です。後ほど詳しく解説しますが、新開発の振り子方式により、乗り物酔いの原因となる揺れが大幅に軽減されました。 これまで「やくもは揺れるから…」と敬遠していた方でも、安心して利用できるようになります。
さらに、全席コンセントや無料Wi-Fiの完備、座席スペースの拡大、多様なニーズに応える座席バリエーションなど、現代の旅行スタイルに合わせた設備が充実しました。 これにより、ビジネスでの移動も、家族旅行も、これまで以上に快適で便利なものになります。273系の増備は、利便性と快適性を両立させ、「やくも」を誰もが利用しやすい魅力的な特急列車へと進化させました。山陰への旅が、もっと身近で楽しいものになる未来が期待されます。
新型やくも273系の魅力とは?

約40年ぶりに新しくなった特急「やくも」。その新型車両273系には、最新の技術と利用者のことを考えた工夫が随所に盛り込まれています。ここでは、多くの人を惹きつける美しいデザインから、画期的な乗り心地を実現した新技術、そして快適さを追求した車内空間まで、273系の魅力を余すところなくご紹介します。
コンセプトは「沿線の風景に響き、自然に映える車体」
273系のデザインでまず目を引くのが、その上品で落ち着いた車体カラーです。 これは「やくもブロンズ」と名付けられたオリジナルカラーで、「沿線の風景に響き、自然に映える車体」というデザインコンセプトを体現しています。
この色は、宍道湖に沈む夕陽、たたら製鉄の炎、大山の夏山開き祭の松明、そして山陰地方の赤瓦など、沿線の豊かな自然や文化から着想を得て作られました。 ただ新しいだけでなく、その土地の歴史や風土に敬意を払ったデザインは、乗る前から旅への期待感を高めてくれます。デザイン監修は、観光列車「WEST EXPRESS 銀河」なども手掛けたデザイナーの川西康之氏が担当しており、洗練された中にも温かみを感じる仕上がりとなっています。
車内空間の快適性~座席と設備の進化~
273系の車内に足を踏み入れると、「山陰の我が家のようにくつろげる温もりのある車内」というコンセプトを実感できます。 普通車は、沿線の山々をイメージした緑色のシートが採用され、魔除けの意味も持つ伝統的な「麻の葉」模様があしらわれています。 一方のグリーン車は、富と長寿の象徴である亀の甲羅をイメージした「積石亀甲」模様が施された黄色のシートで、明るく上質な空間が広がります。
座席そのものも大きく進化しました。リクライニングに合わせて座面が沈み込むチルト機構をJR西日本の特急として初めて採用し、長時間乗車しても疲れにくい工夫がされています。 また、座席の間隔も広げられ、足元もゆったり。 全席にコンセントと可動式の枕が設置されているのも嬉しいポイントです。 これらの細やかな配慮が、移動時間をより豊かで快適なものに変えてくれます。
日本初!「車上型の制御付自然振り子方式」で乗り物酔いを軽減
カーブの多い伯備線を走る「やくも」にとって、乗り心地は長年の課題でした。従来の381系は、カーブで車体を傾ける「自然振り子方式」を採用していましたが、独特の揺れから「酔いやすい」という声もありました。
そこで273系では、この課題を解決するために日本初となる「車上型の制御付自然振り子方式」という新技術を導入しました。 これは、あらかじめ記憶させた路線のカーブ情報と、走行位置をリアルタイムで照合し、最適なタイミングで車体を傾ける画期的なシステムです。
自然の遠心力に任せていた従来方式とは異なり、コンピュータ制御によって滑らかに車体を傾けるため、揺れが大幅に軽減され、乗り心地が劇的に向上しました。 JR西日本のデータによれば、この新技術によって乗り物酔い評価指標が最大で23%も改善されたとのことです。 これまで「やくも」の揺れが苦手だった方も、安心して快適な列車の旅を楽しめるようになりました。
どう変わる?273系導入後のサービス
新型車両273系の導入は、乗り心地だけでなく、車内で過ごす時間の質も大きく変えました。現代の旅行者のニーズに応えるため、座席の種類が増え、便利な設備も充実しています。ここでは、273系に乗るのがもっと楽しみになる、新しいサービスや設備について詳しくご紹介します。
座席の種類と特徴
273系では、従来のグリーン車、普通車に加えて、新たにグループ向けの「セミコンパートメント」が設置されたのが大きな特徴です。 これにより、旅の目的やメンバー構成に合わせて、最適な座席を選べるようになりました。
選べる3つの座席タイプ
- グリーン車:横3席(1+2席)のゆったりとした配置。座席間隔は新幹線のグリーン車と同等で、広々とした足元空間が魅力です。 黄色を基調とした明るい内装で、上質な旅を演出します。
- 普通車:横4席(2+2席)の配置。 全席にコンセントと可動式枕が完備され、シートピッチ(座席の前後間隔)も広く快適です。 リクライニングと連動するチルト機構で、長時間の移動も楽々です。
- セミコンパートメント:2名用と4名用の半個室タイプの座席。 座面を引き出してフラットにすることができ、靴を脱いでリラックスできます。 追加料金なしの普通車指定席料金で利用できるため、非常に人気があります。
特にセミコンパートメントは、小さなお子様連れの家族や、友人同士のグループ旅行に最適です。プライベートな空間で、周りを気にせず会話や食事を楽しめるのは大きなメリットと言えるでしょう。
車内Wi-Fiとコンセント
今や旅行やビジネスに欠かせないインターネット環境。273系では、車内で無料の公衆無線LANサービス(Free Wi-Fi)が利用可能です。 これにより、移動中に仕事のメールをチェックしたり、SNSで旅の思い出をシェアしたり、動画コンテンツを楽しんだりと、時間を有効に活用できます。
また、スマートフォンの充電切れの心配もありません。273系はグリーン車・普通車・セミコンパートメントの全座席にコンセントが設置されています。 コンセントは肘掛けの先端部分にあり、通路側・窓側を問わず誰でも使いやすい設計になっています。 これで、長時間の乗車でもバッテリー残量を気にすることなく、スマートフォンやパソコンを存分に利用できます。こうした設備の充実は、現代の利用者にとって非常に嬉しいポイントです。
バリアフリー設備と大型荷物スペース
273系は、誰もが安心して快適に利用できるよう、バリアフリー設備も充実しています。車いすをご利用の方でも乗り降りしやすいようにスペースを拡大し、車いすのまま乗車できるフリースペースや、車いす対応の多機能トイレが設置されています。 また、体調がすぐれない時などに利用できる多目的室も備えられており、さまざまな状況に対応できる配慮がなされています。
さらに、インバウンド観光客の増加や、旅行スタイルの多様化に対応するため、大型のスーツケースなどを置ける荷物スペースも各車両に設置されました。 これまで置き場所に困りがちだった大きな荷物も、専用スペースに収納することで、座席周りを広々と使うことができます。こうした細やかな配慮により、すべての方がストレスなく旅行を楽しめる環境が整えられています。
273系は、その優れたデザイン性や利便性が評価され、「2024年度グッドデザイン・ベスト100」や「2025年鉄道友の会ブルーリボン賞」を受賞しています。
273系増備で期待される効果と地域の反応
新型車両273系の導入は、単に鉄道利用者の利便性を高めるだけにとどまりません。山陰地方の観光振興や地域経済の活性化にも大きな影響を与えると期待されています。ここでは、273系増備がもたらすプラスの効果や、地元の人々の声、そしてデビューに合わせて行われたキャンペーンなどについてご紹介します。
観光客増加と地域経済への期待
乗り心地が良く、快適な設備が整った新型車両の登場は、山陰地方への旅行を検討している人々にとって大きな魅力となります。特に、乗り物酔いの心配が軽減されたことで、これまで長時間の列車移動をためらっていた層にもアピールできるでしょう。 快適な移動体験は、旅全体の満足度を高め、リピーターの増加にも繋がります。
観光客が増えれば、宿泊施設や飲食店、土産物店などが潤い、地域経済全体に好循環が生まれます。岡山駅での新幹線との接続も改善され、首都圏や関西圏からのアクセスが向上したことも追い風となるでしょう。 273系は、まさに山陰地方に新たな活気を呼び込む起爆剤として、大きな期待が寄せられているのです。
沿線自治体や利用者の声
273系のデビューは、沿線の自治体や住民からも大変歓迎されています。駅には歓迎の横断幕が掲げられ、デビュー当日は多くの人が新型車両の到着を祝いました。利用者からは、「揺れが少なくて本当に快適になった」「車内が静かでゆっくりくつろげる」「コンセントやWi-Fiがあって便利」といった声が数多く聞かれます。
特に、これまで381系の揺れに悩まされていた利用者にとっては、その乗り心地の劇的な改善は驚きをもって受け止められています。 また、斬新でありながら沿線の風景に溶け込む「やくもブロンズ」のデザインも好評で、駅で写真を撮る人の姿も多く見られます。 地元の人々にとって、新しい「やくも」は単なる交通手段ではなく、地域の誇りとなりつつあるようです。
記念キャンペーンやイベント情報
273系のデビューと381系の引退に合わせて、JR西日本では様々なキャンペーンやイベントを実施しました。381系のリバイバル塗装編成の運行は、全国から多くの鉄道ファンを呼び込み、大きな盛り上がりを見せました。 また、デビュー前には試乗会が開催され、一足早く新型車両の魅力を体験できる機会が設けられました。
デビュー後も、記念グッズの販売や、沿線の観光施設と連携したキャンペーンなどが行われています。例えば、出雲市駅の待合室が「やくもラウンジ」としてリニューアルされるなど、駅の設備も新型車両に合わせて進化しています。 こうした取り組みは、273系のデビューを広くアピールすると同時に、沿線地域全体を盛り上げる効果も生んでいます。今後も、季節ごとのキャンペーンなどが企画される可能性があり、目が離せません。
まとめ:273系増備で変わる山陰への旅

この記事では、特急「やくも」の新型車両「273系増備」について、その計画から車両の魅力、そして地域にもたらす効果まで、幅広く解説してきました。
約40年ぶりの新型車両導入は、長年親しまれた国鉄型381系からのバトンタッチという歴史的な出来事です。 2024年6月には全ての定期列車が273系に置き換わり、山陽と山陰を結ぶ移動は新たな時代を迎えました。 日本初の新技術「車上型の制御付自然振り子方式」による劇的な乗り心地の向上、利用者のニーズに応えた快適な車内設備、そして沿線の魅力を映し出す美しいデザイン。 これら全てが融合した273系は、ただの移動手段ではなく、旅の目的の一つとなり得るほどの魅力を備えています。
273系の増備完了によって、山陰への旅はもっと快適で、もっと身近なものになります。ぜひ一度、新しく生まれ変わった特急「やくも」に乗って、その素晴らしい乗り心地と山陰の美しい風景を体験してみてはいかがでしょうか。



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