東北地方の広い範囲で活躍し、地域の足として親しまれているJR東日本の701系電車。
1993年のデビューから30年以上が経過し、SNSなどでは「いつ置き換えられるの?」「次の新しい車両は何になるの?」といった声が多く聞かれるようになりました。
この記事では、701系の現状や置き換えが噂される背景、そして未来の東北の鉄道がどう変わっていくのか、気になる情報を分かりやすくまとめています。
現在のところ、JR東日本から701系を全面的に置き換えるという公式発表はまだありません。しかし、一部の車両で延命工事の計画がある一方で、車両の状態や他の路線の動向から、将来的な置き換えに向けた動きが少しずつ見え始めています。
この記事を読めば、701系の今とこれからについて詳しくなれるはずです。
701系置き換えの現状と今後の見通し
東北地方の普通列車の主役として長年活躍してきた701系ですが、製造から30年以上が経過し、置き換えの時期が近いのではないかと注目されています。ここでは、701系がどのような電車なのか、なぜ置き換えが噂されているのか、そしてJR東日本の公式な動きについて解説します。
そもそも701系ってどんな電車?
701系は、1993年に登場したJR東日本の交流用電車です。 それまで東北地方で活躍していた客車列車や古い急行形電車などを置き換える目的で開発されました。 当時の首都圏で導入が進んでいた「209系」の技術をベースにしており、製造コストを抑えながら、性能を向上させたのが大きな特徴です。 車体は軽くて錆びにくいステンレス製で、車内は基本的に通勤電車と同じロングシートを採用しています(一部クロスシートの車両もあります)。
2両や3両といった短い編成で運転できるため、利用者が比較的少ないローカル線の効率的な運用に適しています。 また、運転士一人で運行できるワンマン運転にも対応しており、人件費の削減にも貢献しました。 登場からわずか3年ほどで東北6県すべてに導入されるなど、瞬く間に東北の標準車両としての地位を確立しました。 現在も、IGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道といった第三セクター鉄道で同系列の車両が活躍しており、東北の鉄道網を支える重要な存在です。
なぜ置き換えが噂されているの?老朽化が主な理由
701系の置き換えが噂される最も大きな理由は車両の老朽化です。1993年から製造が始まったため、初期に製造された車両はすでに車齢が30年を超えています。 一般的に鉄道車両は、製造から15年前後で主要な機器を更新する「機器更新」と呼ばれる大規模なメンテナンスを行い、さらに15年前後使用したのち、30年~40年で引退(廃車)となるケースが多く見られます。
701系もすでに1回目の機器更新を終えてから15年程度が経過している車両があり、一般的な車両の寿命を考えると、そろそろ置き換えの時期が来てもおかしくない状況です。 実際に、SNSや鉄道ファンの間では「いつ置き換えられても不思議ではない」という声が多く上がっています。 さらに、近年JR東日本では地方路線向けにE131系などの新型車両の導入を進めており、その流れが東北地方にも波及するのではないかという期待感も、置き換えの噂を後押ししています。
JR東日本の公式発表はある?
2025年11月現在、JR東日本から701系全体を新型車両で置き換えるという公式な発表はまだありません。
しかし、部分的な動きは見られます。例えば、青い森鉄道では保有する701系に対して延命工事を行う計画を発表しています。 これは、車両をすぐに廃車にするのではなく、さらに長く使い続けるための修繕を行うということです。JR東日本が保有する車両についても、秋田総合車両センターの公開イベントで「701系延命工事計画」が策定中であることが示唆されており、当面は更新しながら使用を続ける方針のようです。
一方で、JR東日本では過去に「地方の車両は2回機器更新を行うことを検討している」という方針が示されたこともあり、701系が2回目の大規模更新の対象になる可能性も指摘されています。 もしそうなれば、車齢50年近くまで活躍する可能性も出てきます。このように、現時点では全面的な置き換えか、延命・更新して使い続けるのか、具体的な方針はまだ不透明な状況と言えるでしょう。
ただし、一部の路線では701系ではなく、気動車(ディーゼルカー)のキハ110系が新型のHB-E220系に置き換えられる計画があり、東北エリアの車両事情も少しずつ変化しています。
置き換え候補となる新型車両は?

701系の置き換えが実現する場合、どのような車両が後継となるのでしょうか。まだ公式な発表はありませんが、他の地域で導入されている車両や、これからの鉄道に求められる機能から、いくつかの候補が考えられます。ここでは、有力候補とされる車両や、新型車両導入によるメリットについて見ていきましょう。
有力候補?ワンマン対応のE131系
現在、701系の後継として最も有力視されているのがE131系です。E131系は、主に地方のローカル線向けに開発された新型車両で、2021年から房総地区(千葉県)や相模線(神奈川県)などで活躍を始めています。
E131系の大きな特徴は、最新のワンマン運転支援システムを搭載している点です。車両の側面にカメラが設置されており、運転士が運転台のモニターで乗客の乗り降りを安全に確認できます。 これにより、車掌が乗務しないワンマン運転の安全性が向上します。また、車内には防犯カメラや非常通報装置が増設されるなど、セキュリティ性能も高められています。
実際に、東北地方でも仙台と石巻を結ぶ仙石線で、長年活躍してきた205系を置き換えるためにE131系が導入されることが決定しています。 これは東北エリアで初のE131系導入となり、今後の展開を占う上で重要な事例となりそうです。701系が活躍する路線もワンマン運転を行っている区間が多いため、同様のシステムを持つE131系は非常に有力な候補と言えるでしょう。
E131系の特徴まとめ
- 側面のカメラで安全なワンマン運転をサポート
- 車内防犯カメラや非常通報装置の増設でセキュリティ向上
- 座席幅が広がり、快適性がアップ
- 車いすやベビーカー向けのフリースペースを設置
他の候補車両の可能性は?
E131系が有力である一方、他の車両が導入される可能性もゼロではありません。その一つがE721系です。E721系は、701系の後継として2007年から仙台地区を中心に導入が進められてきた車両で、すでに東北地方ではおなじみの顔となっています。 低い床とステップのない構造(バリアフリー対応)や、セミクロスシートによる快適性の高さが特徴です。
E721系は現在も製造が続けられており、阿武隈急行の新型車両AB900系もE721系をベースにしています。このため、製造ラインを活かして701系置き換え用にE721系を増備するというシナリオも十分に考えられます。
また、全く新しい形式の交流用車両が開発される可能性も考えられます。例えば、車両に搭載した機器や線路の状態を監視するモニタリング技術を活用し、故障の予兆を事前に把握して安全性をさらに高める機能などが盛り込まれるかもしれません。 将来の労働力不足を見据え、メンテナンスの手間を減らす設計なども重視されるでしょう。
新型車両導入によるメリット
もし701系が新型車両に置き換えられると、私たち利用者にとって多くのメリットが期待できます。まず挙げられるのが快適性の向上です。例えばE131系では、従来の車両より座席の幅が一人あたり1cm広くなっています。 たった1cmと感じるかもしれませんが、長時間の乗車ではこの差が快適さに繋がります。また、車いすやベビーカーを利用する方々が安心して使えるフリースペースの設置も標準的になるでしょう。
次に安全性の向上も大きなメリットです。車内に設置される防犯カメラは犯罪の抑止力になりますし、非常通報装置が増えることで、万が一の際にも迅速な対応が期待できます。 さらに、車両の状態を常に監視するモニタリング技術が導入されれば、突発的な故障による遅延や運休が減り、より安定した輸送サービスが実現します。
そして、環境への配慮も進みます。最新の車両は、モーターの制御技術(VVVFインバータ制御)の進化により、消費電力を大幅に抑えることができます。これは、省エネやCO2排出量の削減に繋がり、環境負荷の低減に貢献します。
新型車両の導入は、単に古い電車を新しくするだけでなく、安全性、快適性、環境性能といった様々な面で、地域の鉄道をより良いものへと進化させてくれるのです。
701系の現在の活躍エリアと特徴
置き換えの噂が絶えない701系ですが、今なお東北地方の広大なエリアで主力車両として活躍しています。ここでは、701系が現在どのような場所で走っているのか、そして多くの鉄道ファンから注目されるその特徴について詳しくご紹介します。
東北地方の広い範囲で活躍
701系は、東北6県のうち、福島県、宮城県、山形県、岩手県、秋田県、青森県のJR線の主要な電化路線でその姿を見ることができます。 具体的な活躍路線は以下の通りです。
| エリア | 主な路線 | 帯の色 |
|---|---|---|
| 仙台地区 | 東北本線、常磐線、仙山線 | 赤と緑のライン |
| 秋田・青森地区 | 奥羽本線、羽越本線、津軽線 | 明るい紫色(マゼンタ) |
| 盛岡地区 | 東北本線、田沢湖線 | 青紫色 |
| 山形地区(標準軌) | 奥羽本線(山形線) | 緑とオレンジのライン |
このように、所属する地区によって車体の帯の色が異なるのが701系の特徴の一つです。 これにより、どのエリアを走る車両なのか一目で分かります。特に山形新幹線や秋田新幹線が走る区間では、線路の幅が新幹線と同じ「標準軌」になっているため、701系もそれに合わせた専用の車両(5000番台・5500番台)が用意されています。
「走るんです」と呼ばれた背景
701系は、登場時に一部の利用者や鉄道ファンから「走るんです」という愛称(あるいは揶揄)で呼ばれることがありました。これは、同時期に首都圏で登場した209系の愛称「走ルンです」に由来します。209系は「寿命半分・価格半分・重量半分」をコンセプトに、製造コストを徹底的に削減して大量に導入された車両でした。
701系もその設計思想を受け継いでおり、オールロングシートの車内や、効率性を重視したシンプルな内装が、それまで客車列車やボックスシートの急行形電車に慣れ親しんでいた地方の利用者にとっては、サービスの低下と受け取られることがありました。 特に、長距離を移動する際に窓の外の景色を楽しみにくいロングシートは、評判があまり良くありませんでした。 こうした背景から、コスト削減を優先した車両というイメージで「東北の走るんです」と呼ばれるようになったのです。
しかし、一方で701系の登場は東北の鉄道輸送を大きく改善した功績もあります。客車列車に比べて格段にスピードアップし、列車の本数を増やすことも可能になりました。冷暖房が完備され、乗り降りがしやすい3ドアになったことで、通勤・通学輸送のサービスは飛躍的に向上したのです。
ロングシートとオールステンレス車体の特徴
701系の最大の特徴とも言えるのが、車内のロングシートです。 これは、通勤ラッシュ時の混雑緩和を目的とした座席配置で、一人でも多くの乗客が乗れるようになっています。ドア付近に広いスペースが確保できるため、スムーズな乗り降りが可能です。ただし、景色が見づらい、知らない人と隣り合って座ることに抵抗がある、といったデメリットも指摘されています。田沢湖線用の車両など、一部にはボックスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシートの車両も存在します。
もう一つの大きな特徴は、軽量ステンレス製の車体です。 ステンレスは鉄に比べて錆びにくく、塗装が不要なため、メンテナンスの手間やコストを大幅に削減できます。また、車体を軽量化することで、使用する電力を減らし、レールの負担も軽減できるというメリットがあります。この「軽量ステンレス車体」と「VVVFインバータ制御」という組み合わせは、その後のJR東日本の標準的な車両設計となり、多くの電車に採用されていくことになりました。
賛否両論ありながらも、701系は30年以上にわたり東北の厳しい気候の中で走り続け、地域の交通を支えてきました。そのシンプルな構造と高い汎用性は、まさに東北の鉄道近代化を象徴する車両と言えるでしょう。
過去の車両置き換えの事例から見る701系の未来

701系が今後どうなるのかを考える上で、過去にJR東日本が行ってきた他の車両の置き換え事例が参考になります。国鉄時代から引き継がれた古い車両をどのように更新してきたのか、そして近年の地方路線における車両更新の流れを見ていくことで、701系の未来を予測するヒントが見つかるかもしれません。
国鉄時代からの車両を置き換えた功績
701系が登場する前の1990年代初頭、東北地方の普通列車は国鉄時代に製造された古い車両が多く活躍していました。 例えば、電気機関車が客車を引っ張る「客車列車」や、急行列車として使われていた「455系・457系」などがその代表です。これらの車両は製造から数十年が経過し、老朽化が深刻な問題となっていました。
客車列車は、終点の駅で機関車を付け替える作業が必要で効率が悪く、冷房がない車両も多かったためサービス面での課題がありました。 また、急行形電車はドアが2つしかなく、座席もボックスシートが中心だったため、朝夕のラッシュ時の乗り降りに時間がかかっていました。
そこに登場したのが701系です。3ドア・ロングシートの701系は、ラッシュ時のスムーズな乗降を可能にし、輸送効率を大幅に向上させました。 冷暖房も完備され、乗り心地も改善。何より、電車化によってスピードアップが図られ、それまでより短い時間で移動できるようになりました。701系は、まさに東北地方の普通列車の近代化を一気に推し進めた立役者だったのです。
新潟地区のE129系導入事例
近年の地方路線の車両置き換えで参考になるのが、新潟地区の事例です。新潟地区では、国鉄時代に製造された115系という電車が長年活躍していましたが、老朽化のため置き換えが課題となっていました。そこでJR東日本は、新潟地区専用の新型車両としてE129系を開発し、2014年から順次導入を開始しました。
このE129系は、雪深い新潟の気候に対応するため、耐寒耐雪構造を強化しているのが特徴です。また、車内はロングシートとボックスシートを組み合わせたセミクロスシートを採用し、通勤・通学輸送から観光利用まで幅広いニーズに応えられるようになっています。
この事例から分かるのは、JR東日本が地域の特性に合わせて専用の新型車両を開発・導入するケースがあるということです。東北地方も冬は雪が多く厳しい気候であるため、701系の後継車両も、新潟地区のE129系のように、地域の気候風土に合わせた設計になる可能性が考えられます。
地方交通線の車両更新の流れ
近年、JR東日本は地方のローカル線(地方交通線)の車両更新を積極的に進めています。その代表例が、先にも述べたE131系の導入です。 房総地区では、長年使われてきた209系を置き換えるためにE131系が導入されました。
この置き換えで注目すべき点は、ワンマン運転への対応を前提としていることです。地方では人口減少に伴い利用者が減っており、鉄道会社は経営の効率化が急務となっています。運転士だけで運行できるワンマン運転は、コスト削減の有効な手段です。E131系は、側面にカメラを設置するなど、より安全にワンマン運転ができる設備を備えており、今後の地方路線の標準的な仕様となる可能性があります。
仙石線へのE131系導入もこの流れの一環と見ることができ、701系が活躍する他の東北の路線でも、将来的に同様のワンマン対応新型車両が導入される可能性は高いと言えるでしょう。 過去の事例は、701系の未来が「地域の特性」と「経営の効率化」という2つの大きなテーマに沿って形作られていくことを示唆しています。
まとめ:701系の置き換えと東北の鉄道の未来

この記事では、「701系置き換え」をキーワードに、その現状と今後の展望について解説してきました。現時点でJR東日本からの正式な置き換え発表はないものの、製造から30年以上が経過した初期車両の老朽化は着実に進んでいます。
一方で、延命工事の計画も存在しており、全ての車両が一斉に引退するのではなく、状態の良い車両は修繕しながら当面は活躍を続ける可能性が高いでしょう。
仮に置き換えが実現する場合、後継車両の有力候補は、仙石線にも導入されるワンマン運転対応の新型車両E131系です。 E131系は、安全性や快適性が向上しているだけでなく、地方路線の効率的な運営にも貢献する車両です。
701系が東北の鉄道の近代化を大きく前進させたように、次の新型車両は、人口減少社会における持続可能な公共交通のあり方を示してくれる存在になるはずです。東北の足として走り続けてきた701系の動向と、それがもたらす未来の鉄道の姿に、これからも注目していきましょう。



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