小田急線を朝の通勤・通学で利用する際、多くの人が目にする「通勤急行」という種別。平日の朝ラッシュ時、それも上り方面のみにしか現れないこの列車は、普段使いしている人でも「快速急行と何が違うの?」と疑問に思うことが多い存在です。
特に多摩線沿線から都心へ向かう方にとっては、新宿まで直通できる頼もしい存在ですが、一方で「なぜ登戸に止まらないのか」といった独特の停車パターンに戸惑うこともあるでしょう。この記事では、小田急線通勤急行の仕組みを詳しく紐解きます。
停車駅の秘密から混雑を避けるための乗車テクニック、さらには2025年の最新ダイヤ状況まで、明日からの通勤が少しだけ楽になる情報を、鉄道と街の視点から分かりやすくお伝えしていきます。ぜひ最後までチェックしてくださいね。
小田急線通勤急行の基本情報と停車駅の秘密

小田急線の「通勤急行」は、2018年の複々線化に伴う大規模なダイヤ改正で誕生した種別です。平日の朝、最も利用者が多い時間帯に、主に多摩線から新宿方面へ向かう乗客をスムーズに運ぶために設定されました。まずはその基本的な運行形態を見ていきましょう。
多摩線から新宿へ!運行ルートと時間帯
通勤急行の最大の特徴は、すべての列車が「多摩線内から出発する」という点です。始発駅は唐木田駅、または小田急多摩センター駅となっており、そこから新百合ヶ丘駅を経由して新宿駅へと向かいます。小田原線の本厚木方面からは運行されていないため、多摩線ユーザー専用の優等列車といっても過言ではありません。
運行されるのは平日の朝ラッシュ時間帯(おおむね7時台から9時台の間)の上りのみです。土休日や日中、夜間には一切運行されないため、非常に限定的な「ラッシュ特化型」の種別といえます。新宿駅に到着した後は折り返しで別の種別になるため、下りの通勤急行は存在しないという点もユニークなポイントです。
多摩線内は各駅に止まるわけではなく、急行と同じ停車駅設定(唐木田・小田急多摩センター・小田急永山・栗平)となっています。五月台や黒川といった駅を通過することで、多摩エリアから都心までの速達性を確保しているのが大きなメリットといえるでしょう。
停車駅の一覧と「千鳥停車」のメリット
通勤急行の停車駅は、新百合ヶ丘駅を出ると向ヶ丘遊園、成城学園前、下北沢、代々木上原、新宿となります。ここで注目したいのが、快速急行が停車する「登戸駅」を通過し、逆に快速急行が通過する「向ヶ丘遊園駅」と「成城学園前駅」に停車するという変則的なパターンです。
このように、列車種別ごとに停車駅をずらす手法を「千鳥停車(ちどりていしゃ)」と呼びます。もしすべての優等列車が同じ駅に止まってしまうと、その駅に乗客が集中しすぎてしまい、ホームの混雑や列車の遅延を招く原因になります。駅ごとに役割を分担させることで、スムーズな運行を実現しているのです。
特に成城学園前や向ヶ丘遊園は利用者数が多く、これらの駅から新宿へ急ぐ人にとって、通勤急行は乗り換えなしで利用できる非常に便利な存在です。快速急行が止まらない駅をフォローすることで、沿線全体の利便性のバランスを取っているといえますね。
謎の「登戸通過」には明確な理由がある
多くの利用者から「なぜJR南武線との乗り換え駅である登戸に止まらないのか」という声が聞かれます。しかし、これには小田急電鉄の緻密な混雑緩和戦略が隠されています。登戸駅は快速急行が停車するため、ただでさえ非常に多くの乗客がホームに溢れかえる駅です。
もし通勤急行まで登戸に止めてしまうと、多摩線から乗ってきた人たちに加え、登戸からの膨大な乗客がさらに乗り込むことになり、車内の混雑は限界を超えてしまいます。そこで、あえて登戸を通過させることで、多摩線方面からの乗客と登戸からの乗客を「快速急行」と「通勤急行」に物理的に分断させているのです。
この運用により、快速急行の殺人的な混雑をいくらか緩和し、通勤急行側も一定の快適性を維持することが可能になっています。利用客にとっては不便に感じる瞬間もあるかもしれませんが、路線全体の遅延防止と安全確保のためには欠かせない工夫といえるでしょう。
快速急行や急行と何が違う?種別ごとの使い分け

小田急線には多くの種別があるため、どれに乗るのが正解か迷うこともあります。特に通勤急行と快速急行は、どちらも新宿まで早く着くイメージがありますが、その性質は大きく異なります。ここでは、それぞれの違いと使い分けのポイントを整理してみましょう。
小田急線の主な種別(朝ラッシュ時)
・快速急行:主要駅のみ停車する最速種別。登戸に停車。
・通勤急行:多摩線始発。向ヶ丘遊園・成城学園前に停車、登戸は通過。
・急行:朝の一部時間帯に運行。経堂などにも停車する場合がある。
・通勤準急:千代田線直通。各駅停車に近い役割を持つ。
快速急行との停車駅比較
もっとも大きな違いは、先ほども触れた「登戸」「向ヶ丘遊園」「成城学園前」の3駅です。快速急行は登戸には止まりますが、それ以外の2駅は通過します。対して通勤急行は、向ヶ丘遊園と成城学園前に止まり、登戸を通過します。この「あべこべ」の関係を覚えておくと非常に便利です。
また、複々線区間での走行車線も異なります。快速急行は基本的に「急行線(内側の速い線路)」をノンストップで走り抜けますが、通勤急行も急行線を走行しつつ、停車駅で適宜減速します。停車駅の数だけで見ると通勤急行の方が多いですが、多摩線内での通過駅があるため、トータルの速達性は非常に高く設定されています。
新百合ヶ丘から新宿までの停車駅数を比べると、快速急行は2駅(登戸、下北沢、代々木上原 ※代々木上原は乗り換え駅としてカウント)ですが、通勤急行は4駅(向ヶ丘遊園、成城学園前、下北沢、代々木上原)となります。わずか2駅の差しかないため、どちらに乗っても体感的なスピード感に大きな差はありません。
所要時間のリアルな実態
実際にどれくらい時間に差が出るのか気になる方も多いはずです。例えば、新百合ヶ丘駅から新宿駅までの所要時間を比較すると、快速急行が約29分〜31分であるのに対し、通勤急行は約30分〜31分となっています。驚くことに、停車駅が多いはずの通勤急行と快速急行で、ほとんど差がついていないのです。
これは、朝のラッシュ時は列車が数分おきに走っており、前の列車との間隔を保つ必要があるため、最高速度を出すよりも一定のペースで走り続ける方が効率的だからです。快速急行に乗って登戸の混雑に揉まれるよりも、通勤急行で確実に目的地へ向かう方が、時間的にも精神的にもお得なケースが多いといえます。
ただし、これはあくまで「順調に動いている場合」の話です。ダイヤが乱れた際には、停車駅が少ない快速急行が優先的に通されることもありますが、通常時であれば「先に来た方に乗る」というのが賢明な判断といえるでしょう。
どちらに乗るべき?判断のポイント
乗車駅によって最適な選択は変わります。多摩線内の駅から乗る場合は、文句なしで「通勤急行」がおすすめです。始発駅に近いため座れる確率が高く、新百合ヶ丘での面倒な乗り換えも必要ありません。そのまま新宿まで運んでくれる安心感は抜群です。
一方、新百合ヶ丘駅から乗る場合は、あえて「快速急行」を一本見送って、後から来る「通勤急行」を狙うのがテクニックです。快速急行は小田原方面からの長距離客で既に満員状態であることが多いですが、通勤急行は多摩線からの乗客のみなので、新百合ヶ丘時点では比較的余裕があることが多いからです。
【種別の選び方チャート】
・登戸で降りたい、乗り換えたい → 快速急行一択!
・向ヶ丘遊園、成城学園前で降りたい → 通勤急行へ!
・新宿まで少しでも楽に行きたい → 新百合ヶ丘で通勤急行を待つ!
混雑を避けて快適に!通勤急行の乗車テクニック

いくら便利な通勤急行とはいえ、朝のラッシュ時である以上、混雑は避けられません。しかし、乗る車両やタイミングを少し工夫するだけで、車内の窮屈さを大幅に軽減することができます。ここでは、ベテラン利用者も実践している具体的なテクニックを紹介します。
車両ごとの混雑レベル(何号車が狙い目?)
小田急線の新宿行き列車は、基本的に「前寄り(新宿側)」の車両ほど混雑する傾向にあります。これは、新宿駅の改札口が前方にあることや、代々木上原・下北沢といった主要駅での乗り換え動線が前方に集中しているためです。具体的には、7号車から10号車(先頭車両側)は非常に密度が高くなります。
逆に、後ろ寄りの車両(1号車から4号車あたり)は比較的スペースに余裕があることが多いです。特に通勤急行の場合、多摩線内ではどの車両もまんべんなく埋まりますが、新百合ヶ丘や成城学園前から乗ってくる人は利便性を求めて前方に固まりやすいため、後方車両を選んでおくだけで圧迫感が全く違います。
また、小田急アプリを活用すると、リアルタイムで各車両の混雑状況を確認することができます。今の時代、根性で満員電車に飛び込むのではなく、データを見て空いている隙間を探すのがスマートな通勤術といえるでしょう。数秒の歩行で、30分の快適さが手に入ります。
始発駅(多摩センター・唐木田)での座席確保
通勤急行の大きなメリットは、多摩線内に始発駅があることです。唐木田駅は車庫に隣接しているため、ここから乗れば確実に座ることができます。多摩センター駅も主要な乗車駅ですが、唐木田から来た列車が既に埋まっていることもあるため、確実に座りたいなら「多摩センター始発」の列車を狙うのがコツです。
多摩センター始発の通勤急行は、本数は限られているものの、発車数分前から並んでいれば高確率で着席可能です。朝の30分を座って過ごし、読書や仮眠に充てられるメリットは計り知れません。多少家を早く出る価値は十分にあるといえるでしょう。
永山駅や栗平駅から乗る場合は、残念ながら座れる可能性は低くなりますが、それでもまだ車内には「立つスペース」が十分にあります。ここでドア付近を避け、車両中央の吊り革付近まで入り込んでしまうのが、その後の混雑に巻き込まれないための秘訣です。
新百合ヶ丘からの乗り換え術
新百合ヶ丘駅は、小田原線方面からの快速急行や各駅停車が集結する巨大なジャンクションです。ここで多くの人が快速急行に乗り換えようとしますが、ホームは常に大混雑。ここで慌てて快速急行の列に並ぶのは、実はあまり得策ではありません。
通勤急行は多摩線専用ホーム(3・4番線)または小田原線共通ホームに到着しますが、快速急行よりも乗客の密度が低い状態で入線してくることが多いです。放送案内でも「後から参ります通勤急行もあわせてご利用ください」と流れる通り、あえて一本遅らせることで、扉付近のギューギュー詰めを避けることができます。
新百合ヶ丘駅でのポイント:
多摩線ホームから発車する通勤急行は、小田原線ホームよりも整列している人が少ない場合があります。乗り換え階段から少し離れた位置で待つと、よりスムーズに乗車できます。
通勤急行停車駅に住む魅力と街の暮らし

鉄道の種別は、その街の不動産価値や住みやすさにも直結します。通勤急行が止まる駅は、小田急電鉄が「重点的に乗客を拾いたい」と考えている、ポテンシャルの高いエリアです。これから引っ越しを考えている方に向けて、主な停車駅の魅力を紹介します。
多摩線沿線の住みやすさ(永山・栗平)
多摩センターや永山エリアは、計画的に整備された多摩ニュータウンの街並みが広がっています。歩行者専用道路が充実しており、小さなお子様がいる家庭でも安心して歩けるのが大きな魅力です。通勤急行を使えば新宿まで40分前後と、距離の割に通勤時間は短く感じられるはずです。
栗平駅周辺は、近年急速に住宅地としての人気が高まっているエリアです。駅周辺にはスーパーやクリニックが集まり、静かで落ち着いた環境でありながら、通勤急行が止まることで都心へのアクセスも良好です。自然と都市の利便性が絶妙にマッチした、まさに「穴場」といえる駅ですね。
また、多摩線沿線は京王相模原線との競合区間でもあるため、小田急側も通勤急行の設定などでサービス向上に力を入れています。運賃の安さやロマンスカーの運行など、小田急ならではのメリットを享受できるのも、このエリアに住む楽しさの一つでしょう。
向ヶ丘遊園・成城学園前の利便性
通勤急行が停車する向ヶ丘遊園駅は、かつての遊園地の跡地利用が進み、新しい商業施設や住宅が次々と誕生しています。快速急行は止まりませんが、通勤急行と急行が利用できるため、都心へのアクセスに不自由はありません。学生街としての活気と、落ち着いた住宅街の雰囲気が同居する街です。
成城学園前駅は、言わずと知れた都内屈指の高級住宅街です。駅ビルの「成城コルティ」をはじめ、おしゃれなショップやカフェが充実しており、駅周辺を歩くだけでも豊かな気分になれます。通勤急行が止まることで、朝の混雑時でもスムーズに新宿へ出られるのは、忙しいビジネスパーソンにとって大きな付加価値です。
これらの駅は「登戸の一つ隣」という位置関係にあります。南武線への乗り換え客で騒がしい登戸を避け、少し落ち着いた環境で暮らしたいけれど、交通の便は妥協したくない。そんなわがままな願いを叶えてくれるのが、通勤急行停車駅の素晴らしいところです。
子育て世代に選ばれる理由
小田急沿線は「子育てしやすい路線」として知られていますが、通勤急行はそのライフスタイルを支える重要な役割を果たしています。朝の忙しい時間帯に、新宿まで「乗り換えなし」で行けるというのは、保育園の送り迎えや急な呼び出しへの対応を考えると、非常に大きなメリットになります。
また、沿線には「生田緑地」や「多摩川」など、子どもと一緒に遊べる豊かな自然が豊富にあります。平日は通勤急行でバリバリ働き、休日は家族でのんびり過ごす。そんなメリハリのある生活を実現できる環境が整っているからこそ、多くのファミリーに選ばれ続けているのです。
最新ダイヤ(2025年改正)と今後の展望

鉄道のダイヤは時代に合わせて常に進化しています。小田急線も複々線化の完成から数年が経ち、運行パターンはより洗練されてきました。2025年の最新状況を踏まえ、通勤急行を取り巻く環境が今後どのように変わっていくのか、予測を含めて解説します。
2025年3月改正での変更点
2025年3月のダイヤ改正では、小田急線全体で利便性の向上が図られました。通勤急行そのものの大きな停車駅変更はありませんでしたが、関連する種別での動きが注目されています。例えば、多摩線内の急行がすべての駅に止まるようになるなど、各駅停車との役割分担がより明確になりました。
通勤急行については、多摩線から新宿への速達性を維持しつつ、後続の快速急行との間隔を微調整することで、特定の列車への集中をさらに防ぐ取り組みが行われています。これにより、以前よりも「いつ来ても同じくらいの混み具合」という平準化が進み、利用者のストレスは徐々に軽減されている傾向にあります。
また、ロマンスカー「モーニングウェイ」の増発や時刻変更も、通勤急行の利用動向に影響を与えています。少しの課金で確実に座れる特急に流れる層がいることで、一般の通勤列車である通勤急行にも、わずかながら「ゆとり」が生まれる良い循環が期待されています。
複々線化の恩恵と現在の運行状況
小田急線がかつて「混んで遅い」と言われていた時代は、もう過去の話です。代々木上原から登戸までの複々線区間をフル活用することで、通勤急行も前の各駅停車に邪魔されることなく、スムーズにスピードを上げることができます。これにより、ラッシュ時であっても大幅な遅延が起こりにくくなりました。
現在の通勤急行は、分刻みの精密なスケジュールで運行されています。もし登戸に停車させていたら、このスムーズな流れは実現していなかったでしょう。通過駅を作ることで列車同士の距離を保ち、高速走行を可能にする。この「攻めのダイヤ」こそが、複々線化によって得られた最大の恩恵なのです。
ただし、それでも輸送人員の多さは日本トップクラスです。小田急電鉄では、車両の大型化(すべて10両編成にするなど)や、新型車両「5000形」の導入によって、車内の広さを確保する努力を続けています。広くて明るい車内の新型車両が通勤急行に充当されると、朝の気分も少し明るくなりますよね。
利便性向上のための小田急の取り組み
小田急は現在、ハード面(線路や車両)だけでなくソフト面(情報提供)にも力を入れています。前述の「小田急アプリ」による混雑情報の提供に加え、遅延が発生した際の代替ルート案内や、他社線との連携も強化されています。通勤急行という一つの種別だけでなく、移動全体を快適にする視点が持たれています。
今後は、テレワークの普及による通勤スタイルの変化に合わせ、さらなる柔軟なダイヤ変更が行われる可能性もあります。例えば、ピーク時だけでなく、少し時間をずらした時間帯にも便利な種別を設定するなど、多様化するニーズに応えていくことが期待されています。
小田急線は「まち」と共に歩む鉄道です。通勤急行が結ぶ多摩エリアや世田谷エリアがより魅力的な街になれば、その足となる電車の価値も必然的に高まっていきます。私たちはただ乗るだけでなく、この便利なシステムを賢く使いこなして、豊かな生活を送っていきたいものですね。
小田急線通勤急行を賢く使って朝の時間を有効活用しよう
小田急線の通勤急行は、平日の朝ラッシュ時、多摩線から新宿を目指す人にとって最高のパフォーマンスを発揮する種別です。登戸をあえて通過し、向ヶ丘遊園や成城学園前に停車するという独特なパターンは、沿線全体の混雑を平準化し、スムーズな運行を守るための知恵が詰まった結果でした。
快速急行と比べても遜色ない所要時間を誇りながら、車両の選び方や始発駅の活用次第では、より快適に移動することが可能です。特に新百合ヶ丘駅で一本待って通勤急行に乗るという選択は、毎朝の疲労度を大きく変えてくれるかもしれません。
鉄道を単なる移動手段としてだけでなく、その仕組みや街との繋がりを知ることで、いつもの通勤風景が少し違って見えてくるはずです。最新のダイヤ情報をチェックしながら、通勤急行をあなたのライフスタイルに合わせて上手に使いこなしてみてください。明日からの朝が、より充実した時間になることを願っています。





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