東北新幹線「はやぶさ」などで活躍し、鮮やかな「常盤(ときわ)グリーン」の車体で人気のE5系。 国内最速の時速320km/hで走行する、JR東日本の主力新幹線車両です。 2011年3月のデビューから10年以上が経過し、「E5系の引退はいつになるのだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
現在のところ、E5系の引退に関する公式発表はまだありません。しかし、後継となる新型車両「E10系」の開発が発表されるなど、世代交代に向けた動きは着実に進んでいます。 この記事では、E5系の引退時期の予測から、後継車両の情報、E5系の特徴や現在の運行状況まで、気になる情報をわかりやすくまとめました。E5系の未来について、一緒に見ていきましょう。
E5系の引退はいつ?具体的な時期と今後の見通し
東北・北海道新幹線の顔として活躍を続けるE5系ですが、車両の寿命や後継車両の計画から、引退の時期をある程度予測することができます。ここでは、様々な情報からE5系の引退がいつ頃になるのかを探っていきます。
E5系に引退の公式発表はある?
2025年11月現在、JR東日本からE5系の引退に関する公式な発表は行われていません。 E5系は現在も東北・北海道新幹線の主力車両として、「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」といった様々な列車で活躍しています。 2023年にも増備車が導入されるなど、今すぐ引退するという状況ではありません。
しかし、鉄道車両には必ず寿命があり、いつかは引退の時を迎えます。新幹線の車両は、技術の進歩や安全性の向上、さらには乗り心地の改善などを目的に、およそ15年~20年程度で置き換えられるのが一般的です。E5系の量産先行車は2009年に登場しており、初期に製造された編成はすでに15年近くが経過しています。 このことから、近い将来、初期編成から順次置き換えが始まる可能性が考えられます。
また、後継車両となる新型「E10系」が2030年度に営業運転を開始する予定であると発表されており、これがE5系の置き換え計画と密接に関連していることは間違いないでしょう。
車両の寿命から考える引退時期の予測
新幹線車両の寿命は、走行距離や使用環境、メンテナンスの状況によって異なりますが、一般的には約15年~20年が一つの目安とされています。高速で長距離を走行するため、車体や機器の劣化が在来線車両よりも早く進むためです。
E5系の量産先行車であるU1編成は2009年に製造されました。 2025年現在で製造から16年が経過しており、一般的な寿命から考えると、いつ引退してもおかしくない時期に差し掛かっています。実際に、初期に製造されたU1編成からU28編成までは製造から10年以上が経過しており、これらの編成から置き換えが始まると予測されています。
一方で、E5系は2023年まで製造が続けられており、新しい編成も存在します。 そのため、全てのE5系が一斉に引退するわけではなく、2020年代後半から初期編成の廃車が始まり、2030年代半ばにかけて段階的に後継のE10系へと置き換えが進んでいくと考えるのが自然でしょう。
インドの高速鉄道計画に関連して、2026年にもE5系が1編成譲渡されるという報道もあり、これが事実であれば、E5系初の廃車は予想より早まる可能性があります。
E5系の初期編成と量産先行車の動向
E5系の置き換えを考える上で特に注目されるのが、量産先行車「U1編成」と、それに続く初期に製造された編成の動向です。量産先行車は、その名の通り量産に先駆けて製造され、様々な試験走行を行うための車両です。そのため、量産車とは一部仕様が異なる点があります。
E5系のU1編成は2009年6月に登場し、約1年半にわたって性能試験や長期耐久試験を行いました。 その後、量産化改造を経て営業運転に投入されましたが、屋根上のアンテナハッチの色など、細かな点で量産車との違いが見られます。
こうした量産先行車は、一般的な車両よりも早く引退するケースが多く見られます。また、2011年から2013年にかけて製造された初期の量産車も、製造から10年以上が経過しています。 後継車両E10系の導入が2030年度から始まることを考えると、2020年代の後半、早ければ2026年頃から、これらの初期編成に廃車が発生する可能性が鉄道ファンの間で囁かれています。
E5系が引退すると言われる理由

国内最速の現役新幹線として活躍するE5系ですが、なぜ引退が噂されるのでしょうか。そこには、避けられない車両の老朽化や、次世代を見据えた新型車両の開発など、いくつかの理由が関係しています。
車両の老朽化とメンテナンスコスト
E5系が引退すると言われる最も大きな理由は車両の老朽化です。2011年の営業運転開始から、E5系は日本の大動脈である東北・北海道新幹線で長距離・高速運転を日々繰り返してきました。 特に、国内最速の時速320km/hという高速域での走行は、車体や台車、モーター、パンタグラフといった各機器に大きな負担をかけます。
製造から15年近く経過した初期編成では、目に見えない部分での金属疲労や部品の摩耗が進行していると考えられます。安全な運行を維持するためには、定期的な大規模メンテナンス(全般検査)が必要ですが、年数が経つほど交換部品が増え、メンテナンスコストは増大していく傾向にあります。
新型車両「ALFA-X」の開発と次世代新幹線
E5系の後継を占う上で欠かせないのが、JR東日本が開発した次世代新幹線の試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」の存在です。ALFA-Xは、時速360km/hでの営業運転を目指して開発され、2019年から試験走行を重ねてきました。
このALFA-Xで得られた技術やデータが、E5系の後継となる新型車両「E10系」に活かされると考えられています。 実際に、E5系もその前の世代の試験車両「FASTECH 360S」の技術をベースに開発された経緯があります。
ALFA-Xは、さらなる高速化だけでなく、安全性や快適性、環境性能の向上も目的としています。例えば、地震発生時にさらに早く停止するための技術や、トンネル突入時の騒音をより低減する新しい先頭形状などが試験されています。こうした新技術を搭載した次世代車両の登場が、現行のE5系の世代交代を促す大きな要因となります。
技術革新による性能の陳腐化
E5系はデビュー当時、世界最高レベルの技術を結集した最先端の車両でした。 しかし、鉄道技術は日進月歩で進化しており、10年以上が経過した現在では、さらに優れた技術が登場しています。
例えば、モーターを制御する半導体素子は、E5系が採用しているIGBTから、より電力損失が少ないSiC(炭化ケイ素)へと進化しています。これにより、さらなる省エネルギー化が可能になります。また、車内の設備に目を向けても、Wi-Fi環境の改善や、電源コンセントの全席設置(E5系初期車は窓側のみ)など、乗客のニーズも変化しています。
E5系の後継は?次世代新幹線E10系の姿
E5系の引退後、東北新幹線の新たな主役となるのが新型車両「E10系」です。JR東日本から開発が発表されたこの次世代新幹線は、どのような車両になるのでしょうか。試験車両「ALFA-X」から受け継がれる技術や、将来の北海道新幹線札幌延伸との関わりについて見ていきましょう。
試験車両「ALFA-X」がベースになる可能性
JR東日本は2025年3月4日、E5系の後継となる新型車両「E10系」の開発に着手したことを発表しました。 営業運転開始は2030年度内を目指しており、2027年秋以降に最初の編成が完成する予定です。
このE10系のベースになると考えられているのが、次世代新幹線の試験車両「ALFA-X」です。ALFA-Xは、最高時速360km/hでの営業運転を目指して開発された車両で、騒音を抑えるための長さの違う2種類の先頭形状や、地震時の脱線を防ぐ装置など、多くの新技術が試験されています。
E10系の営業最高速度はE5系と同じ時速320km/hと発表されていますが、ALFA-Xで培われた環境性能や安全技術はE10系にフィードバックされると見られています。 より静かで、より安全、そして環境にやさしい新幹線として登場することが期待されます。
新型車両に求められる性能とは?(速度・環境性能)
新型車両E10系には、E5系を超える様々な性能が求められます。最高速度は時速320km/hと据え置かれましたが、これは騒音や消費電力、建設コストなどを総合的に判断した結果と考えられます。 速度の向上よりも、環境性能や快適性の向上が重視されていると言えるでしょう。
特に重要なのが環境性能です。トンネル進入時に発生する「トンネル微気圧波(ソニックブーム)」をさらに低減するため、ALFA-Xで試験されたような、より洗練された先頭形状が採用される可能性があります。また、最新の半導体技術(SiC素子など)を用いた制御装置により、E5系以上の省エネルギー性能を実現することも大きな目標となります。
車内設備も大きく進化する見込みです。ビジネス客向けに、座席間の仕切りを大きくするなどプライベート感を高めた座席が導入されるほか、USBポートの設置やWi-Fi環境の改善も図られます。 また、荷物輸送サービスを本格的に導入するため、専用のドアが設置されるのもE10系の特徴です。
E10系の外観デザインは、緑色を基調としつつもE5系とは異なる新しいものになります。車体横のラインは桜の花びらをモチーフにした曲線的なデザインが採用される予定です。
北海道新幹線札幌延伸との関連
E10系の導入計画は、将来の北海道新幹線・札幌延伸とも深く関わってきます。現在、北海道新幹線は新函館北斗まで開業していますが、2030年度末の開業を目指して札幌までの延伸工事が進められています。(※工事の遅れにより開業時期は延期される見込みです)
東京から札幌まで新幹線がつながると、現在よりもさらに長距離を走行することになり、車両の性能や信頼性がより一層重要になります。JR東日本は、札幌延伸時に使用する車両については「E10系をベースに別途検討する」としています。
これは、札幌延伸区間(新函館北斗~札幌)では、整備新幹線の法律に基づき最高速度が時速260km/hに制限されることなどが関係していると考えられます。 札幌直通列車には、E10系をベースとしながらも、長距離運転に適した仕様変更が加えられた車両が投入される可能性があります。いずれにせよ、E10系が札幌延伸後の東北・北海道新幹線系統の主力車両となることは間違いありません。
これまで活躍してきたE5系の特徴と功績
引退の足音が聞こえ始めたE5系ですが、日本の新幹線の歴史に残した功績は非常に大きいものがあります。その美しいデザインから、国内最速運転の実現、そして新しいサービスの導入まで、E5系がどのような車両だったのかを改めて振り返ってみましょう。
「常盤グリーン」の美しいデザイン
E5系の外観で最も印象的なのは、その鮮やかなカラーリングです。車体の上部は「常盤(ときわ)グリーン」、下部は「飛雲(ひうん)ホワイト」、そしてその間を「つつじピンク」の帯が引き締めるという、独創的で美しい塗装が施されています。 このカラーリングは、JR東日本のコーポレートカラーである緑を基調としながら、先進性とスピード感を表現したものです。
そしてもう一つの大きな特徴が、約15メートルにも及ぶロングノーズの先頭形状です。 これは、高速でトンネルに進入する際に発生する騒音(トンネル微気圧波)を抑えるためのデザインで、環境性能を追求した結果生まれた機能美と言えます。 この個性的なフォルムとカラーリングの組み合わせは、E5系を他の新幹線車両とは一線を画す存在にしており、多くの人々に親しまれる理由の一つとなっています。
国内最速320km/h運転の実現
E5系の最大の功績は、国内の営業運転で初めて時速320km/hを達成したことです。 2011年3月のデビュー当初は時速300km/hで運転を開始しましたが、2013年3月のダイヤ改正から宇都宮~盛岡間で時速320km/h運転を開始し、名実ともに日本最速の新幹線となりました。
この高速運転を実現するために、E5系には数々の最新技術が投入されています。高速でカーブを通過する際の揺れを抑え、乗り心地を向上させる「車体傾斜装置」や、左右の細かな振動を打ち消す「フルアクティブサスペンション」などがその代表例です。
これらの技術により、E5系は速度だけでなく、高いレベルの快適性も両立させました。東京~新青森間の所要時間を大幅に短縮し、東北地方と首都圏の交流をさらに活発にしたE5系の功績は計り知れません。
豪華な「グランクラス」の導入
E5系は、サービスの面でも新幹線の歴史に新たな1ページを刻みました。それが、グリーン車よりもさらに上質なサービスを提供する「グランクラス」の新設です。
飛行機のファーストクラスをイメージして作られたグランクラスは、1両にわずか18席という贅沢な空間が特徴です。 シートは本革が使用され、リクライニング角度は最大45度。専任のアテンダントが乗務し、軽食やドリンクのサービス(※一部列車を除く)が提供されるなど、これまでの新幹線にはなかった極上の移動空間を実現しました。
このグランクラスの導入は、単なる移動手段としてだけでなく、「新幹線での移動時間そのものを楽しむ」という新しい価値観を生み出しました。E5系から始まったこのサービスは、その後の北陸新幹線E7系などにも受け継がれています。
北海道新幹線への乗り入れ
E5系の活躍の舞台は東北新幹線だけにとどまりません。2016年3月26日の北海道新幹線(新青森~新函館北斗間)開業に伴い、E5系は青函トンネルを越えて北海道まで足を延ばすことになりました。
これにより、東京から新函館北斗までが新幹線で直結され、日本の大動脈がさらに北へと延伸されました。北海道新幹線区間では、青函トンネル内を在来線の貨物列車と共用走行するため、最高速度は時速140km/h(現在は160km/h)に制限されるなど、特殊な環境での運行が求められます。
E5系は、こうした特殊な条件下でも安定した走行性能を発揮し、本州と北海道を結ぶ重要な役割を担っています。北海道新幹線の開業は、E5系の信頼性と汎用性の高さを証明する出来事でもありました。
引退前にE5系に乗るには?現在の運行情報
世代交代の足音が聞こえてきたとはいえ、E5系はまだまだ東北・北海道新幹線の主力です。引退が本格化する前に、ぜひその走りや乗り心地を体験しておきたいもの。ここでは、現在E5系がどの路線で、どの列車として走っているのか、具体的な情報をまとめました。
E5系が走っている路線と列車名
E5系は、現在主に東北新幹線(東京~新青森)と北海道新幹線(新青森~新函館北斗)で活躍しています。 使用されている列車の愛称は以下の通りです。
| 列車名 | 主な運行区間 | 特徴 |
|---|---|---|
| はやぶさ | 東京~新青森・新函館北斗 | E5系の主力列車。多くが国内最速の320km/hで運転される。秋田新幹線「こまち」(E6系)と連結して走る列車も多い。 |
| はやて | 盛岡・新青森~新函館北斗など | 「はやぶさ」を補完する速達タイプの列車。現在は定期列車が少なく、臨時列車での運用が中心。 |
| やまびこ | 東京~仙台・盛岡 | 東北新幹線内の主要駅に停車するタイプ。山形新幹線「つばさ」(E8系など)と連結する列車にもE5系が使われるようになった。 |
| なすの | 東京~那須塩原・郡山 | 東北新幹線の近距離区間を走る各駅停車タイプ。通勤・通学などでの利用も多い。 |
E5系の編成を見分ける方法
東北新幹線にはE5系の他にも、E2系やE6系、E8系といった様々な車両が走っています。ホームに入ってきた新幹線がE5系かどうかを見分けるには、いくつかのポイントがあります。
一番わかりやすいのは、やはりその外観デザインです。
- 鮮やかな緑色(常盤グリーン)の車体
- 約15mの非常に長い鼻(ロングノーズ)
- 車体中央のピンク色(つつじピンク)の帯
この3点が揃っていれば、E5系で間違いありません。特に、ロングノーズの先頭形状は非常に特徴的なので、遠くからでもすぐに判別できます。
また、列車名で判断することも可能です。東京駅を発着する「はやぶさ」は、基本的にE5系(またはJR北海道のH5系)で運転されます。ただし、「やまびこ」や「なすの」は、引退が進んでいるE2系で運転されることもあるため、確実にE5系に乗りたい場合は時刻表などで使用車両を確認するのがおすすめです。
おすすめの乗車区間
E5系の魅力を最大限に味わうなら、やはり国内最速の時速320km/h運転を体験できる区間に乗車するのがおすすめです。
E5系が時速320km/hで走行するのは、東北新幹線の宇都宮駅~盛岡駅間です。 この区間を含む、大宮駅より北へ向かう「はやぶさ」に乗車すると、その圧倒的なスピードと、高速にもかかわらず安定した乗り心地を体感できます。特に、トンネルが少なく開けた景色が広がる区間では、窓の外を流れる景色からその速さを実感できるでしょう。
例えば、仙台駅から盛岡駅までの区間は、駅間距離が長く、高速性能を存分に発揮する走りを楽しめます。また、せっかくなら奮発して「グランクラス」に乗ってみるのも特別な体験になるはずです。引退の前に、E5系が築き上げた日本の新幹線の最高峰の走りを、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
E5系の引退と未来への展望まとめ

この記事では、東北新幹線などで活躍するE5系の引退について、様々な角度から解説してきました。
現時点でE5系の引退に関する公式発表はありませんが、後継車両となる新型「E10系」が2030年度から営業運転を開始する予定です。 これに伴い、E5系は2020年代後半から初期に製造された編成から順次置き換えが始まり、2030年代にかけて世代交代が進んでいくと予測されます。
E5系は、国内最速となる時速320km/h運転の実現や、豪華な「グランクラス」の導入など、日本の新幹線の歴史に大きな足跡を残した名車両です。 引退は寂しいですが、その技術と精神はE10系へと受け継がれ、日本の新幹線はさらに進化を続けていきます。
まだしばらくは主力車両として活躍するE5系。引退の日が来る前に、その美しいデザインと快適な走りを、ぜひ記録に残し、体験してみてください。



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